1日目の様子はこちら。
2日目:シンポジウム6「 栄養の視点からみたサルコペニア、フレイル対策」
「摂食シグナル胆汁酸を感知する受容体TGR5による骨格筋機能維持機構」
◆東京大学大学院農学部生命科学研究科応用生命科学専攻食品生化学 佐藤先生のお話のポイント
・胆汁酸は摂食シグナルの1つ。
・マウスを使った研究では、以下の結果が出た。
①骨格筋におけるGタンパク質共益受容体を介したcAMP上昇による筋量増加骨格筋TGR5の活性化はサルコペニア予防に貢献する
②運動後の骨格筋ではTGR5の発現が上昇する
③骨格筋増加により糖代謝が改善される
「地域在住高齢者の食品摂取多様性とフレイル重症度との関わり」
◆東京都健康長寿医療センター研究所 本川先生による「口腔保健と栄養」のポイント
・国民健康、栄養調査結果より、地域住民における65歳以上の低栄養BMI20未満は5人に1人である。
・今までのフレイル予防栄養研究内容
①たんぱく質と十分なエネルギー摂取
②高たんぱく質の摂取
③ビタミンC、D、E葉酸の摂取
・板橋お達者検診2011コホートでは、食品摂取の多様性のみがフレイル発症、重症か予防に関連することが分かった。地域の住民に食品多様性を伝えるにはオーラルフレイルとの関連が重要である。
・咀嚼機能低下群では摂取食品に偏りがあり、サルコペニア、低栄養の関連があった。今後、食品摂取多様性の評価が重要と考えられる。
・配食サービスの増加が望まれるが、コンビニ、スーパーなど身近な市販弁当を有効なものにするのも一策である。
「入院リハ高齢者における栄養からみたサルコペニア・フレイル対策」
◆長崎リハビリテーション病院法人本部人材開発部、栄誉管理室 西岡先生のお話のポイント
・病前と入院時にADLが低く、嚥下能力が悪いと筋量が少ないとの横断研究結果が出た。
・脳卒中患者においては機能獲得に関連があるのは、BMIでなくSMI(骨格筋量)という解析結果が出た。
・食事が取れている人、エネルギーが取れていない人に必須アミノ酸を強化して効果があるかはまだ分からない
・多施設協働研究においてモニタリング回数が月1回よりも週1回のほうが体重減少を抑制したという結果が出た。
「栄養の視点からみたサルコペニアの摂食嚥下障害対策」
◆横浜市立大学付属市民総合医療センターリハビリテーション科 若林先生のお話のポイント
・老嚥とは喉のフレイルである。
・高度な侵襲の場合、1日に1kg筋崩壊が起こる。
・4学会(日本摂食嚥下リハビリテーション学会、日本リハビリテーション栄養学会、日本サルコペニア・フレイル学会、日本嚥下医学会)で合同ペーパーを作成中。
・理想体重×35kcalの栄養管理を行いながら、レジスタンストレーニングを実施すると効果的。
・全身にサルコペニアがある人には嚥下障害が見られた。
・入院する前のフレイルサルコペニアの高齢者を見つけて予防することが重要である。
フレイルとサルコペニア改善のために
本学会大会に参加し、フレイル、サルコペニアの改善のためには栄養が必須であり、管理栄養士として地域への働きかけも重要であると思いました。まずは、それぞれの職域の管理栄養士の立場で何ができるか考えていきたいですね。