サルコペニアとは?
サルコペニアとは高齢期に見られる骨格筋量の低下と、筋力もしくは身体機能(歩行速度)などの低下により定義されます。また、サルコペニア肥満は、サルコペニアと肥満もしくは体脂肪の増加を併せ持つ状態であり、それぞれ四肢骨格筋量の低下(身長の2乗または体重で補正)と、BMIまたは体脂肪率またはウエスト周囲長の増加で操作的に定義されます。しかしながら、評価方法やカットオフ値は定まっていないのが現状です。
サルコペニアのスクリーニング方法・診断方法
サルコペニアの診断方法は、EGWSOP(European Working Group on Sarcopenia in Older People)の基準を基本として、全7種類の診断基準が確認されています。
EGWSOPの診断基準
診断は基準1とその他(基準2または3)に基づく
①筋肉量の低下(四肢骨格筋量)
②筋力の低下(握力)
③身体能力の低下(歩行速度)
日本の日常診療においては、AWGS(Asian Working Group for Sarcopenia)の診断基準を用いることが推奨されています。AGWSの診断基準は次の通りです。
AGWSの診断基準
サルコペニア肥満に関しては、統一された診断コンセンサスがありません。そこで、スクリーニング方法としては、下腿周囲長に注目した「指輪っかテスト」によるスクリーニングが有用です。
指輪っかテスト
サルコペニアと栄養
適切な栄養摂取はとても大事です。特に、1日に(適正体重)1㎏あたり1.0g以上のたんぱく質摂取は、サルコペニアの発症予防に有用である可能性があり、推奨されています。
また、サルコペニアを有する人への必須アミノ酸を中心とする栄養介入は、膝伸展筋力の改善効果があるとされ、推奨されています。
最後になりますが、サルコペニアに対する治療法は、運動療法と栄養療法の両輪がうまく回ることによってなされると考えられます。特定の栄養素が効果的という考え方もあるかもしれませんが、根本的な栄養面での問題点の洗い出しなども、有用なのではないでしょうか。
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