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スポーツの競技別の栄養・食事に関するシリーズです。
ほかの種目もチェック

今回は、長距離や自転車、競歩などの選手の食事についてお話しします。持久力を要するスポーツのエネルギーはまず糖質です。次に脂質もエネルギーとして利用します。しかしながら、これらの種目は体脂肪をなるべく少なくした身体づくりをするため、脂質の摂取には気を遣う選手が多いです。脂質の過剰摂取に気を付けながら、十分なエネルギーを確保できる食事を摂ってください。 練習も長時間になる場合が多いので、摂取エネルギーも多めです。
1日女性で2,500~3,000kcal、男性で3,500~4,000kcal程度のエネルギーが必要になるでしょう。もちろん練習量に応じてなので、近年増加している市民ランナーの皆さんについては、摂取カロリーは異なる場合もあります。

特に重視したい栄養素

①糖質&ビタミンB1
持久力の主なエネルギー源は糖質ですが、甘い糖質をたくさん摂り過ぎると、体脂肪の素になります。そこで甘くない糖質を摂ることがポイントです。そして、よく噛んで食べることで、消化吸収が早くなり、胃腸への負担も軽く、エネルギーに変えやすい状態になります。
パンや麺類も甘くない糖質ですが、含まれる(もしくはは調理上利用される)脂質の量を考えると、ご飯の方がお勧めです。また、糖質の燃焼に必要なビタミンB1を必ず一緒に摂るようにしてください。

赤身の豚肉、大豆・大豆製品、胚芽米などに豊富に含まれています。私の場合は、毎日ご飯に雑穀を混ぜて、そこからもB1 を摂れるようにしています。特に「あわ」に豊富です。
ご飯は1食あたり60%の割合で食べるので、糖質とB1を一緒に摂れるのは効率が良いですね。さらに、B1の吸収を促進するのがアリシンです。アリシンはネギや玉ねぎ、にんにくなどに多く含まれているので、これらも一緒に料理に加えられるようにしましょう。

②鉄&ビタミンC
持久力を要するアスリートは、鉄欠乏性貧血になりやすいです。体重が軽いとパフォーマンスが上がると言われる種目なので、無理な減量などが影響しています。また、長時間にわたって硬い路面を走ることにより、足底で赤血球が破壊され、貧血になりやすいと言われています。
月経の関係もあり女性の方が貧血になりやすいですが、長距離ランナーでは男性でも貧血の選手が比較的多いようです。日常的な食事で、十分な鉄の摂取が必要です。

鉄はヘム鉄と非ヘム鉄に分かれます。ヘム鉄はレバーや赤身の肉や魚など動物性食品に豊富で、非ヘム鉄はほうれん草や小松菜、海藻類、大豆など植物性の食品に豊富です。
非ヘム鉄の方が体内への吸収が悪いのですが、ビタミンCを一緒に摂ることで吸収率が高まります。柑橘類やピーマン、ブロッコリーなどを鉄の多い食品と一緒に摂るよう意識してください。

③鉄の吸収を妨げる食品
貧血の人や貧血になりやすい人は、鉄の吸収を妨げる食品に注意が必要です。コーヒー、紅茶、緑茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を阻害する働きがあるので、食後すぐに飲まないでください。
食後2時間くらい経っていたら、飲んでも問題はありません。他にも、鉄の吸収阻害としていろいろな栄養素があるのですが、気にしすぎると何も食べられなくなってしまうので、これらの飲み物だけ注意すると良いでしょう。お茶でも麦茶やウーロン茶なら問題ありません。

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②瞬発力&大きい筋肉を作る食事…投てき種目、ウエイトリフティングなど
③瞬発力&大きい筋肉を作る食事…スピードスケート(500m、1000m)、陸上短距離・跳躍、野球など
④パワー、スピード&持久力を作る食事…ボクシング、レスリング、柔道など
⑤瞬発力、持久力&パワーを作る食事…バレーボール、テニスなど
⑥瞬発力、持久力&パワーを作る食事…サッカー、ラグビー(バックスBK)、バスケットボールなど

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WRITER

⑦持久力を作る食事…陸上長距離(マラソン)、競歩、トライアスロンなど

岡田 あき子

フリーランスのスポーツ管理栄養士です。 アスリートのサポート、スポーツ栄養の料理教室、 実業団チームの合宿帯同、記事執筆、セミナー開催などやっています。 管理栄養士 体育科学修士 食アスリート協会認定 シニアインストラクター 日本健康食育協会 シニアマスター

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