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高齢者と骨粗鬆症 後編では「骨粗鬆症予防のための食生活の提案方法」「在宅高齢者へのアプローチのポイント」などをお伝えしていきます。前編はこちらをご覧ください。
骨粗鬆症の予防と治療の大きな柱は食事療法です。適正体重を維持するためのエネルギーと、たんぱく質やカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを意識したバランスのよい食事が基本となります。

高齢者の適正体重とは?

骨粗鬆症のリスクの一つに低体重があります。日本人の食事摂取基準(2020年版)では成人(18歳以上)を4つの年齢区分に分けて、それぞれ目標とするBMIの範囲が示されています。2020年版の改訂では、65-69歳の目標とするBMIの下限値が引き上げられました。65歳以上の高齢者で目標とするBMIは、21.5~24.9㎏/㎡です。これは低栄養やサルコぺニア、フレイルの予防、改善を考慮して値が設定されているためです。
高齢期から体重を増やすと生活習慣病のリスクが高まることが危惧されるので、若年期からBMI 21.5㎏/㎡を維持できると理想的です。適正体重維持のために高齢者では、特にエネルギーをしっかりとるようにします。

多くの食品をとることが大事

その他には、たんぱく質、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKの摂取も重要です。これらの栄養素をとるために、できるだけ多くの種類の食品をとるよう心がけます。6つの食品グループと調味料、食べポの10食品群「さあにぎやかにいただく」注1)といったツールを用いて、バランスよく食べられているか食事摂取状況を確認していくとよいですね。
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」に記載されているカルシウム、ビタミンD、ビタミンKの推奨摂取量は、いずれも日本人の食事摂取基準で示された推奨量や目標量よりも高値に設定されています。また、骨粗鬆症の治療薬を服用していても、カルシウムやビタミンDは食事から摂取するようにします。

注1)東京都健康長寿医療センター研究所が開発した食品摂取多様性スコアを構成する10の食品群の頭文字をとったもの


在宅高齢者に向けてのセミナーを実施して

昨年度、私は地域の在宅高齢者に向けて骨粗鬆症のテーマでセミナーを実施しました。そのセミナーで実際に私が指導した内容や、参加者の反応などを具体的にお伝えします。セミナーの導入部分では、参加者に昨日食べたものを思い出してもらい、1日分の食事内容からご自身の食事バランスの確認を行ないました。すると、食事バランスは理解できていても欠食が目立ったり、漬物だけでご飯を食べるなど糖質中心でたんぱく質不足の方や、野菜のとり方にムラがあるため十分な量がとれていない方がいらっしゃいました。

カルシウム不足の現状とご提案方法

カルシウムやビタミンD、ビタミンKを多く含む食品を説明すると、「おなかがゴロゴロするから牛乳は飲めない」「調理することが少なくなり魚を食べる回数が少ない」などとお話しされる方がおり、カルシウムが十分摂取できていないことが考えられました。現在、カット野菜が手軽に購入でき、食べやすく野菜不足には有用な場合が多いですが、緑黄色野菜がとりづらいので、「できるだけ色の濃い野菜もとりましょう」と指導しました。豆腐や納豆はそのままでも食べやすく、安価でもあり非常にお勧めの食品です。豆腐は1丁より小さな100g~半丁パックの製品がお味噌汁や鍋料理などにも便利です。


普段の食事に取り入れやすいことが重要

セミナーではお土産として「スキムミルク」を用意し、ミルクピラフや野菜ミルクスープなどの活用レシピを紹介しました。しかし、ピラフやミルクスープは日常食べない方が多く、実践してもらうにはややハードルが高めでした。自分が弁当作りで実践している「スキムミルク入り卵焼き」を紹介すると「作ってみたい」と、とても好評でした。「ちょっとした食品を普段の食事にプラスするだけで、手軽に補える」といったご提案の仕方は非常に重要だと考えています。日々の指導でも自分の体験談や、スーパーやコンビニの最新の商品情報など説明できると患者さんから身近に感じてもらいやすいので、ぜひ実践してみてください。
 
 


 

参考文献
1.骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」ライフサイエンス出版 2015年
2.厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」2019

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②骨粗しょう症 | 骨強度の低下を特徴とし骨折のリスクを増大しやすくなる疾患への対策
④ロコモティブシンドローム | 運動器の障害による移動機能の低下状態への対策
地域の方へのセミナーを通じて

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      38日前

      イートリスタの大塚綾さんが解説する「高齢者と骨粗鬆症」の後編です。「骨粗鬆症予防のための食生活の提案方法」「在宅高齢者へのアプローチのポイント」などを解説していただきました。

      拍手 0

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WRITER

高齢者と骨粗鬆症 後編

大塚 綾

総合病院の管理栄養士をしています。 糖尿病専門外来の療養指導などを担当しています。 フリーの活動では地域の方を対象に栄養講座や栄養相談会を実施しています。

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