最近注目されている「植物肉(代替肉)」を皆様ご存じですか?
今回のコラムでは、植物肉についてと今までのいわゆる畜産肉と比較して調理する上での特徴や注意点をご紹介します。
“植物肉”とは?
「植物だけで作ったお肉のような食品」のことです。今まさに、その呼称や規格について議論されているとニュース記事にもありました。
今のところ、「代替肉」「植物肉」といった呼び方が広く認識されているため、こちらのコラムでは「植物肉」とご紹介します。
この食材がなぜ注目されていると思いますか? 私は、「ヴィーガン(いわゆる完全菜食主義者)の方や、宗教上の理由がある方向けなのかな」と真っ先に思い浮かんだのですが、調べてみるともっと広い意義があることがわかりました。
“植物肉”の普及で期待できることは?
この「植物肉」が普及することで、これまでの畜産肉(牛・豚・鶏など)に頼った食生活の未来に予測される、環境問題や健康問題を解決できる可能性があるとのことです。平たく言えば、特別な主義や宗教などがなくても身近な選択肢の一つとして普及すれば、さまざまなメリットが見込めるということです。
“植物肉”で調理してみよう!
さて、私は厨房機器に関するスペシャリストですので、この「植物肉」について調理上注意する点は何か? についてお伝えします。とあるメーカーさんに、ミンチ状の植物肉を提供いただき試作してみました。
「唐揚げ」や「ミートボール」など、すでに惣菜として加工された商品や「パラパラの乾燥大豆ミート」などはこれまで見たことありましたが、このようにミンチ状の商品は初めて使います。こちらの商品は、そのまま合挽肉と同じような感覚で使ってよいとのことです。
“植物肉”ハンバーグをスチコンで焼いてみました!
通常の合挽肉で調理したハンバーグと植物肉で調理したハンバーグとで比較してみましょう。
今回使用した植物肉は特性上、蒸気が入ると弾力が強くなり、魚肉ソーセージや練り製品のような食感になってしまいます。蒸気を入れることがスチコンの良いところですが、ここはあえて蒸気を絞り、むしろダンバーを開け蒸気を逃がしながら加熱するとよいでしょう。
スチコンとの相性は抜群です!
“植物肉”加熱調理時の特徴
【必要な加熱は?】
畜産肉に存在するような食中毒原因菌が存在しない(こちらの商品の場合)ため、生でも食べられるとのことです。ただし、仕上がりの食感やほかの食材を混合する可能性を考えると、通常通り中心部75℃ 1分以上の加熱をお勧めします。
【焦げが突然つく】
フライパンで加熱していて、なかなか焼き色がつかないな? と思って焼き続けていたら、突然焦げました。この焦げ具合は通常の挽肉と異なるため、従来の鍋釜よりも温度設定のできるスチコンの方が扱いやすそうです。
【縮まない】
これが一番驚いたところです。ハンバーグといえば加熱をすると肉汁が出て縮んでしまいますよね。これが起きないのです。合挽肉との比較をご覧ください。
“植物肉”提供の注意点
管理栄養士の視点から注意点を挙げるとすれば、当然畜産肉とは栄養組成が異なりますので、不足する栄養素があれば何かしらの手段で補うべきということです。特に、成長期の乳幼児や児童に対しては、不足する栄養素がないか注意が必要かと思います。また、植物肉は商品によっても栄養組成は異なると考えられますので、不足する栄養素に注意しながら新たな食材での調理や食事を楽しみましょう!
参考文献
・グリーンカルチャー株式会社「ミッション」(2022年3月14日閲覧)
https://greenculture.co.jp/mission/
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