COLUMN
短大卒業後、資格をとったにもかかわらず、栄養士として働きたいという気持ちが薄れ、一度は関係のない職場に就職したという篠塚さんですが、ひょんなきっかけで栄養士として働くことになりました。その後、多忙な業務の合間をぬって勉強を重ね、見事、管理栄養士になる夢を叶えた篠塚さんに次の目標をおうかがいしました。

合格までにかけた勉強時間は1000時間以上

施設での栄養士の仕事は不規則で勤務時間も長く、未経験だったこともあり、体力的にも精神的にも大変でした。夜明け前からはじまる100〜200人分の大量調理は力仕事が多く、腱鞘炎と寝不足の日々で、休日は疲れ切って寝てばかりいました。しかし、どうしても管理栄養士になりたかったため、受験資格となる3年間の実務経験を積むためにがんばりました。

そんな仕事をしながら、国家試験の勉強をするのは自分との戦いの日々でした。休憩時間などのちょっとした時間は自分でつくった単語帳を暗記し、休みの日は一日中、家か図書館にこもり、ひたすら過去問を解いては、わからないところを調べ、空いている時間はすべて勉強時間にあてました。国家試験は絶対に一発合格すると決めてから、最終的には勉強時間の合計は1年間で1000時間は超えていたと思います。

国家試験を受ける半年ほど前から、職場や自宅の壁やトイレなど、あらゆる目のつく場所にメモを貼り付けて暗記をしました。そんな私の姿を見て、職場の人たちもあたたかく応援してくれました。ちょうど同じタイミングで、施設の管理栄養士さんが産休に入る予定だったこともあって、私への期待も大きく、合格発表の日には心配した人事担当の方から何度も電話をもらいました。無事、管理栄養士に合格したことを報告すると、法人の理事長からもお祝いの電報をいただき、「あぁ、やっと管理栄養士になったんだな」と、実感しました

栄養士時代の経験は無駄ではない

管理栄養士になってからは厨房での仕事はなくなり、献立の作成や施設の入所者様の栄養管理などを主に行っていますが、栄養士だった時の経験はとても役に立っています。現場の調理の方の苦労や栄養士の方の気持はよくわかりますので、コミュニケーションをうまくとることができますし、大量調理に負担がかかりすぎないような献立作成にも、栄養士時代の経験がいかせています。また、いろいろな人から頼られるようになりました。プライベートでも食事のアドバイスを求められるようになりましたし、職場でも理学療法士さんなど他職種の方から栄養に関することをたずねられる機会が増え、以前にはなかったやりがいや責任を感じています。

病院に通う人を減らしたい

今後は予防医学の分野に進みたいと思っています。管理栄養士になってからは、栄養学に加えて中医学やカッサを学んでいます。カッサとは、専用の石板を使って皮膚を擦り流す施術ですが、血の巡りを整える、中国で古くから行われてきた民間療法です。私がカッサを学んだのは、国家試験の勉強を始めたころから、食事だけは手を抜かずにバランスよく食べているにもかかわらず、疲れが取れず、肩こりや偏頭痛などの体調不良に悩まされていたときに、カッサで体調が改善した経験からです。いったん不調になってしまうと、食事改善だけでは十分な改善が得られないということを実感し、中医学の魅力にはまるきっかけでもありました。

これからは食事だけでなく、運動や生活習慣、カッサなど総合的なサポートができる管理栄養士を目指しています。特に、西洋医学では病気とは認められない、冷え性や生理痛、肩こりなどの不定愁訴に悩む方は多くいますので、そういった方の体質改善に力を入れていきたいです。体の中から外からのアプローチで、つらい症状に悩む方のお役に立てる存在になり、病院に行く人を減らせるような活動をしていきます。

前回はこちら >>体の内から外から健康に① - 篠塚明日香

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