短大卒業後、資格をとったにもかかわらず、栄養士として働きたいという気持ちが薄れ、一度は関係のない職場に就職したという篠塚さんですが、ひょんなきっかけで栄養士として働くことになりました。その後、多忙な業務の合間をぬって勉強を重ね、見事、管理栄養士になる夢を叶えた篠塚さんに次の目標をおうかがいしました。
祖父の死をきっかけに興味を持った栄養士の仕事
私が栄養士になろうと思ったのは、父の脂質異常症という病気がきっかけでした。脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が基準値よりも高い状態のことなのですが、動脈硬化や脳卒中のリスクが高くなります。祖父は脳溢血で倒れて亡くなりました。祖父の年齢はようやく60歳を過ぎたくらいで、まだ若かったということもあり、父は自分が同じようになることを恐れていました。それをきっかけに、食事にも気をつけるようになり、管理栄養士に栄養指導を受けることもありました。その当時、中学生だった私は、食事が体に与える影響に興味を持つようになりました。
将来の仕事については、結婚、出産した後でも再就職しやすいように専門性を持った職業につきたいと考えていたこともあり、次第に栄養士を目指すようになりました。ただ、その当時はまだ、栄養士と管理栄養士の仕事の違いについてはあまりわかっていなかったですね。学費の問題や周囲も短大に進学する人が多かったこともあり、短大に進学し、栄養士の資格を取りました。
栄養士とはかけ離れた仕事の日々
短大を卒業し、栄養士の資格は取りましたが、就職先はエステサロンでした。なりたいと思っていた栄養士でしたが、在学中の病院実習では調理の仕事ばかりで、やりたかった栄養指導の仕事はほとんど見ることができず、「思っていた仕事とは違うかもしれない」と熱が冷めてしまっていたんです。もともと美容には興味がありましたし、ダイエット目的のお客様に栄養指導もでき、栄養士の知識も活かせるからいいか、そんな気持ちでエステの仕事を選びました。ただ、栄養指導は1日に1回あるかないかで、時間をかけたカウンセリングもできず、しっかりとした栄養指導はできなかったですね。その後、結婚してからは主人の仕事のサポートが中心となる生活へと一変し、栄養士の仕事とはまったく離れてしまいました。
30歳でむかえた人生の転機
その後、栄養士の仕事をはじめる転機になったのは、30歳のときの離婚でした。自立のため、就職先を探してみても、年齢的な問題もあり、なかなか正社員での仕事は見つかりませんでした。そんな時に目に止まったのが、介護老人保健施設の事務の求人だったんです。面接の時に人事担当の方から言われたのは、「栄養士の資格があるなら、事務ではなく、栄養士として働きませんか? おもに調理が担当になりますが、管理栄養士になるための実務経験が積めますよ」という言葉でした。思いもよりませんでしたが、迷わず引き受けました。それがきっかけとなって、栄養士として働くことになったんです。
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