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管理栄養士の資格を取得し、特定保健栄養指導を行った後、現在はクリニックで腎臓病患者の方の外来栄養指導を行っている泊真希子さん。目的意識を持って計画的にキャリアを積むことが大事と語ってくれました。泊さん自身のキャリア形成のお話を交えながら、外来栄養指導のお仕事について、おうかがいしました。
女性の活躍の場としての外来栄養指導 - 泊真希子さん

人工透析の方向けの外来栄養指導

今は、知人の紹介でクリニックと契約し、人工透析を行っている腎臓病の外来患者の方向けの栄養指導を行っています。透析を受けている方は摂りすぎてはいけない成分があり、食事には気を付けなければいけないのですが、食べてはいけないものがあるわけではありません。食べ過ぎさえ気をつければ、私は何を食べてもいいと思っています。
血液検査の結果をふまえて、塩分、カリウム、リンを控える食事の指導を行っています。患者さんによっては具体的なレシピを印刷してお渡しすることもあります。私が栄養指導をするうえで大事にしていることは、これはリンが多いからダメとか、カリウムが多いからだめと言うのではなく、食事内容を改善しようと思ってもらえるように行動変容をうながすことを重点に置いて、指導するようにしています。
今は興味さえあれば食事中に含まれる栄養素を調べたり、透析中はどんな食事をしたらいいかなど、すぐに調べることができます。行動変容をうながすことで、栄養士から与えられた食事の知識ではなく、どうしたら自分の身体のためにいいのか、どんな方法だったらできるのかを自分で考えていただくことが健康につながっていくと思います。もちろん聞かれたことにはお答えしますが、私から一方的に食事の知識の話をすることはありません。これは特定保健指導をしている時から心がけていることです。

大事なのは患者さんの背景を理解すること

栄養指導を行っていてやりがいを感じるのは、私と話すことが食事を見直すきっかけになったと患者さんに感謝されたときですね。栄養指導を行うことで、検査結果の数値に改善が現れると、とてもうれしいです。そのためには、患者さんとの信頼関係を気づくことが非常に大事だと思っています。栄養や食事の話をするだけではなく、きちんと患者さんに向き合って、その方の仕事や家庭環境など生活周辺のお話をおうかがいし、患者さんの背景をきちんと理解するのが重要だと思っています。人工透析は腎臓移植を行わないかぎり、一生続けなければならないことですから、食事は無理なく、楽しく行っていただけるようにと、いつも心がけています。

目的意識を持って行動することが大事

これから栄養士や管理栄養士を目指す方は、「資格を取ってから自分がやりたいことは何なのか」を考えて行動することが大事だと思います。私自身もクリニックで栄養指導をするという目標を設定して、キャリアを積んできました。今は自分が目指すところが達成できたということもあり、仕事よりも子育てを優先した働き方をしていますが、子育てが一段落ついた時にはまた新しい目標を設定して、がんばっていきたいですね。

管理栄養士の資格を活かした働き方は、子どもを持つ母親でも続けやすい、よいものだと思っています。もちろん、職場によってさまざまな事情があると思いますが、私のように子育てを優先したい時期は週3日で、という働き方ができるのは管理栄養士の資格を持っているからこそだと思っています。もっと世の中に管理栄養士の仕事が認知されて、管理栄養士を採用するクリニックが増えれば、それだけ資格を持った人の活躍の場が増えることになります。

平成28年度の外来栄養食事指導に関する診療報酬の改定によって、対象ががん患者、摂食・嚥下機能が低下した患者、低栄養状態の患者にまで広がり、診療点数も増えました。これによって、栄養指導はクリニックの収益源としてのメリットが高まりました。この流れが管理栄養士を採用するクリニックが増える追い風になってくれればと思います。

前回はこちら >>女性の活躍の場としての外来栄養指導① - 泊真希子

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女性の活躍の場としての外来栄養指導② - 泊 真希子さん

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