社員食堂で調理を学び、病院や介護老人保健施設で管理栄養士として働いてきた若林由香里さん。給食の現場で働く管理栄養士ならではの苦労もあったそうです。それをどのように乗り換えたのか、専業主婦から仕事に復帰し、これからの将来の目標についておうかがいしました。
現場の調理師さんからの反発
施設の開業後、厨房の運用は給食委託会社が入りました。直営の管理栄養士はよそ者扱いで、調理師さんとのコミュニケーションには多々問題がありました。こちらでお願いしたとおりに調理を行ってもらえず、思っていたものとは違う料理の仕上がりになってしまうことが何度もありました。それを防ぐため、調理手順の事前打合わせをしたかったのですが、聞く耳を持っていただけませんでした。おそらく、彼らは現場のことがわからない口うるさい管理栄養士と思っていたのでしょうね。
ある時、行事食の献立で調理師の方から反発にあい、本来あってはならないことですが、私が行事食を作り提供するという事件が起きました。それをきっかけに、きちんと現場の調理ができる管理栄養士として信頼を得ることができ、調理師の方の見る目が変わりました。現場との連携がスムーズになり、より良い食事提供が出来るようになりました。こんな無茶なことができたのも、社員食堂や給食委託会社で調理の現場を経験していたおかげだと思います。
専業主婦からの仕事復帰
施設で3年ほど勤務し、結婚・出産後は子どもが小学校に上がるまで、専業主婦をしていました。管理栄養士の仕事に未練はありましたが、待機児童の問題もあり、子どもを保育園に預けることができず復職は叶いませんでした。現在は子どもも大きくなりましたので、給食委託会社の本社でパートとして働いています。仕事の内容は調理の現場ではなく、栄養士がいないような小さな事業所の献立入力やメニュー表の印刷などの担当をしています。また、単発になりますが、食育関連の仕事やレシピ制作、料理写真撮影のスタッフとしても仕事をしています。
栄養士の仕事としては、病院や施設、保育園などの職場に復帰したい気持ちもありますが、年齢的に厳しくなってきていますので、妊娠・出産・育児を経験して感じた食の大切さを伝えていけたらと考えています。まわりの人からは、子ども向けや初心者向けの料理教室をやって欲しいと言われることがありますので、定期的に開催していけるように準備していきたいと思っています。
前回はこちら >>給食管理の仕事のやりがい① - 若林由香里