大学卒業後、病院の管理栄養士として勤務し、結婚・出産を機にフリーランスで活動している中本絵里さん。野菜ソムリエや健康運動指導士などの資格を持つ中本さんに管理栄養士になったきっかけ、現在の活動についておうかがいしました。
病院を辞めてフリーランスでの活動
病院を辞めてからは、出産後、フリーランスとして働き、メールでのダイエット相談や特定保健指導をしたり、糖尿病のクリニックで働いたりしていました。働いていたクリニックの2階には、運動施設が併設されていました。私は病院を辞めた後に健康運動指導士の資格を取っていました。糖尿病の栄養指導する際に、「よく運動をしてください」ということがありますので、運動プログラムが作成できたほうがいいだろうと考えたからです。私は同僚の管理栄養士とそこの運営を任されることになったのですが、その当時はまだ、運動療法を取り入れたクリニックは少なく、自分たちで一からプログラムを作り上げる必要があり、とても苦労しました。ですが、病院時代とは違い、患者様のそばで療養指導ができたり、多職種連携でイベントを行ったり、糖尿病療養指導の本当の面白さや大切さを知りました。
栄養指導のサービスに格差があるのはおかしい
クリニック・診療所での栄養指導については、一つ思うところがあります。給食施設を持つ病院であれば、必ず管理栄養士がいるため、適切な栄養指導が受けられますが、管理栄養士がいるクリニック・診療所はまだ多くありません。私の父親の場合もそうですが、クリニック等でも管理栄養士から栄養指導を受けることができていれば、糖尿病の食事療法に対する正しい知識や対策ができたのではないでしょうか。どの病院やクリニックを選ぶかで、栄養相談を受けられるかどうかが決まるのはおかしいと思っています。だったら、自分は何ができるかと考えたところ、病院の外にきちんと栄養指導が受けられる場所があればいいのではないかと考えるようになりました。
私は、誰もが栄養や食事療法について学ぶことができる場所を作るため、クリニックを辞めることにしました。少し時間がかかってしまいましたが、今年からようやく形になり、京都で活動を始めています。世の中にヘルシー料理のレシピを教えてくれる教室はたくさんありますが、ヘルシー料理を組み合わせても必ずしもバランスのいい献立になるわけではありません。私は療養のためのヘルシーでバランスの取れた献立の立て方を実践的に学べる献立教室をやりたいと考えています。
管理栄養士はもっと情報発信が必要
管理栄養士の仕事は細かく専門領域が分かれていますので、他の分野のことはわからないことが多く、一つの分野に閉じこもっていると視野が狭くなってしまいます。私は病院以外の分野も知りたいと思い、他の分野についても積極的にやってみようと思っています。
また、管理栄養士以外の分野の方とのコミュニケーションをとることで、学ぶべき点も多くあります。たとえば、接客をメインにやっていらっしゃる方とお仕事をすると、お客様に対する言葉づかいで注意を受けることがあります。私は、患者さんのことをつい、親しみを込めお母さん、お父さんなどと呼んでしまいますが、接客の場合にはきちんとお客様をお名前でお呼びする必要があります。自分の一般常識のなさを知りました。
また、野菜ソムリエなどの民間の資格を持っている方の積極的な情報発信については、管理栄養士も学ぶべきだと思います。管理栄養士は日々、真面目に働いていて、とても勉強熱心な方が多いですが、情報発信という点においては、消極的な方が多いのではないでしょうか。管理栄養士の仕事がもっと世の中に知られるように、情報発信をしていく役割を果たしていければと考えています。
中本絵里さん、ありがとうございました。
前回はこちら >>管理栄養士の仕事について情報発信することの大切さ① - 中本絵里さん