栄養士と管理栄養士の違い
免許の違いとしては、栄養士が都道府県知事による免許であるのに対して、管理栄養士は厚生労働大臣の免許を受けた国家資格である点です。その業務内容は「栄養士法」によって定められており、栄養士はおもに健康な方を対象に栄養指導を行うのに対し、管理栄養士はそれに加えて傷病者(患者)への指導も行います。どちらも国の認可した学校で専門課程を修得して得られる資格で、公的に認められた「食」の専門家であることに変わりはありません。
栄養士から管理栄養士になる人は少数
平成28年の厚生労働省の発表による国家試験の合格率は、管理栄養士養成課程(新卒)が85.1%、管理栄養士養成課程(既卒)5.4%、栄養士養成課程(既卒)9.2%、全体では44.7%となっています。新卒、既卒の合格率には大きな差があり、自力で勉強することの難しさがうかがえます。
管理栄養士養成過程では、合格に向けて学校の強力なサポートがあり、勉強で迷っても、いつでも先生や友人がまわりにいますので、試験には有利な環境です。一方、栄養士から管理栄養士を目指す場合、苦労するのは仕事と勉強の両立です。通信教育等の教材費用、勉強時間の確保はもちろん、頼れる同志や先生も身近にいない環境の中で、努力とモチベーションの維持が必要です。
栄養士になりますか?管理栄養士になりますか?
病院や施設で働きたい場合、管理栄養士のほうが活躍の場が広がります。管理栄養士でないと診療報酬が請求できないなどの法的な部分や、医療スタッフと連携したNST(栄養サポートチーム)ではより専門性の高い知識をもつ管理栄養士が求められます。
しかし、栄養教諭などの公務員や、一般企業での商品開発などでは、栄養士と管理栄養士で待遇や業務内容の違いがないことも多くあります。栄養士免許だけで活躍されている方もいますし、管理栄養士でも就職先によっては資格をいかせていない方も大勢います。食の分野もさまざまなジャンルがありますので、まずはどんな仕事がしたいか、どんな栄養士になりたいのかを明確にすることが大切です。
民間資格との差別化が必要?
栄養士は資格がなければ、名乗ることができません(名称独占)ですが、栄養指導は栄養士の資格がなくても行うことができます。民間資格でも豊富な知識をもとに活躍する方も増えています。そのため、栄養士のあり方が問われる機会も増えるのではないかと思います。
特に近年は健康情報が氾濫し、素人でもSNSなどで簡単に情報を拡散できるようになってきました。ときには信憑性の薄い危険ともいえる情報を目にすることもあります。そんな中で、公的に認められた「食の専門家」である栄養士は、情報発信に責任を持たなくてはならないと感じます。偏った見解になることなく、常に情報更新をしながら食に関わっていきたいですね。
参考資料:
厚生労働省HP
公益社団法人 日本栄養士会 http://www.dietitian.or.jp/
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