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妊娠中に脂肪が増えるのはなぜ?

女性の体は妊娠すると、胎児へ送る栄養分や分娩に必要なエネルギー、産後の授乳のために、ホルモンの作用で脂肪や水分が蓄積されやすくなっています。そのため、妊娠中の体重増加は必要なことなのです。妊娠後期には、羊水や胎盤が大きくなり、血液量も増えるので、体重がぐっと増えて、血圧も上がりやすくなります。

つわりも落ち着いて、おいしく食事が食べられるようになると、それまでの反動で食べ過ぎてしまい、一気に5~6kgも体重が増えてしまう危険もあります。厳密なメカニズムは判明していませんが、急激に体重が増えると、妊娠高血圧症候群などになりやすくなり、出産時のリスクも上がります。妊娠そのものの体重増加によって、血管や内臓に負担が増しているのに加え、妊娠高血圧症候群になると、さらに負担が重くなります。また、妊娠していなくても、食べすぎたり、食塩を摂りすぎたりすると生活習慣病のリスクは上がります。

妊娠中の体重管理

妊娠中の体重管理のためには、規則正しく食事を摂ることが大切です。3食きちんと食べていないと、筋肉量が落ちて、体脂肪率が高くなります。そして、摂取エネルギー量が極端に少なくなってしまうと、基礎代謝が下がり、身体が少しの栄養量でも脂肪としてため込んでしまいます。3食きちんと食べることは、太りにくくなる体質に繋がっているのです。

つらい食べづわりの時には?

空腹になると気分が悪くなってしまう食べづわりの時には、どうすればいいのでしょうか。妊娠前から体重管理が必要な方は、空腹で気分が悪い時には、できるだけエネルギーの少ないものを口にするといいでしょう。食べられるものがいくつかあって、選ぶ余裕があるならば、お菓子類は控え、酢こんぶや野菜スティックをかじるなど、少しでも身体にいいものを選んでみて下さい。好きなものばかり口にしていると、食べることが習慣化され、つわりの時期を過ぎても、口寂しくなり、ついついなにか食べてしまい、どんどん体重が増えてしまう心配があります。食事の間に食べる補食はお菓子ではなく、足りない栄養素を補うために、必要なものを食べるということを意識しましょう。

妊娠中の人工甘味料・ゼロキロカロリーのお菓子について

甘いお菓子を食べていると、お腹も脳も満たされて、肝心な食事のボリュームが減ってしまう傾向にあります。3回の食事をしっかり食べないと、ますます甘いものに依存してしまい、悪循環に繋がります。

体重を増やしたくないから、人工甘味料という考え方もありますが、甘いものを食べる習慣は改善されません。人工甘味料は、甘味を舌で感じても、脳には栄養がいかないため、食べても満足できず、食べ過ぎに繋がる恐れもあります。普段通りに砂糖を使用して、体重が気になるのであれば、砂糖の量を控えていこうという考え方に切りかえるといいでしょう。甘味料の種類ではなく、あくまでも「食べる量」を意識することが大切なのです。

食欲が止まらない時にはどうすればいいの?

どうしても、食欲が抑えられない時には、砂糖や油脂類は量を控え、うまみを使ってみましょう。かつおだしのうまみに含まれるヒスチジンは満腹中枢を刺激し、食欲を抑える効果があるとも言われています。また、減塩にも繋がります。

肉や魚、トマトや干しシイタケなども利用し、おなかを満足させていきましょう。やわらかいものや、口あたりのいいものばかり食べていると、食べすぎに繋がります。食材の食感をいかし、よく噛んで食べられるものがおすすめです。

上手な油の使い方

炒め物を作る時には、あらかじめ野菜を電子レンジで加熱しておくと、炒め時間と使う油を減らせます。また、細かく切るより、大きく切ることで、材料の表面に付く油や調味料の吸収も少なくできます。

減塩を心がける

あらかじめ味がついている食品は、日持ちがする反面で、塩分の摂り過ぎにつながります。できるだけ、うす味で食材の味を楽しむ習慣をつけると、味付けの調味料も自然と減り、減塩に繋がります。

調味料はかけないで、つけて食べるようにすると、効果的に塩分量を減らせます。調味料をかけて食べると、舌にあたらないところにも、余分な調味料がつくので、舌で味を感じた以上の塩分を、知らないうちに摂ってしまうことになります。しかし、食材に調味料をつけて食べると、舌にあたるところにのみ調味料をつけられるので、しっかりと味を感じながら、同時に塩分量を減らすことができます。この時に調味料をつける「少し」や「ちょっと」の量が、どのぐらいなのかを知ることも大切です。思ったよりも少ない量でも満足できることにきっと気づくはずです。

妊娠中の過度の体重増加は、お産が大変になったり、血圧が上がったりする心配があります。しかし、体重増加が少なすぎるのも心配です。食事を控えすぎて栄養不足にならないよう心がけていきましょう。妊娠中は食生活を見直す絶好のチャンスです。ただし、自己流は危険です。必ず、主治医の指示に基づいてすすめていきましょう。

参考文献
妊産婦のための食生活指針 厚生労働省
FirstPre-mo─妊娠がわかったらすぐ読む本─ 主婦の友社 2016
妊娠中の食事 細川モモ・宇野薫 主婦の友社 2016HA
初めての妊娠・出産 笹森幸文 ベネッセコーポレーション 2016
赤ちゃんすくすく時期別妊娠中の食事 笠井靖代・佐藤真之介 西東社 2016
妊娠中のおいしい食事と栄養 田中守・牧野直子 ナツメ社 2013
妊娠中から授乳中のママのための食事と栄養お悩み解決ブック 竹内正人 かんき出版 2015

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妊娠中の肥満は危険?正しい体重管理

小山 幸子

現在は病院、クリニックでの食事サポート、調理実習のほか、食コラムの執筆等。 『この食事が、人生で最後の食事かもしれない』を、モットーに業務に携わっている。 メカオンチのあがり症。 高校卒業後、会社員として8年間勤務後、26歳で栄養士養成校へ。 教員より年上の生徒だった経験を持つ異色の栄養士。 毎日書道会 会友 (雅号:小山 桃花)

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