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予防の意義とは

4月7日は「世界保健デー」です。これは1948年の同日にWHO(世界保健機関)で第一回総会が開催されたことを記念して制定されました。世間はコロナのニュースで持ち切りですが、この世界に存在している病気はもちろんコロナだけではありません。

本日はあらためて、日本にどれだけ病気に苦しむ方や、その予備軍と呼ばれる方がいるのかを国民健康・栄養調査や患者調査のデータを見ながら、医療費や予防の意義について考えてみたいと思います。

日本の現状

まず日本の人口から見ていきます。令和元年の日本の総人口は約1億2,644万人で、8年連続で減少しています。
15~64歳の就労人口はこのうち約7,545万人。一概には言えませんが、お金を生み出す経済活動ができる人数がこの人数です。
65歳以上の高齢者人口は、約3,558万人で、4人に1人が高齢者と言える程、高齢化率は過去最高を迎えています。75歳以上の後期高齢者は1798万人となり、前年より50万人増加しています。

(出典:総務省 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc135230.html)

医療費も年々増加しています。平成29年は過去最高の約43兆円となり、前年より9,000億円も増加しました。政府の報告書から抜粋すると、増加した9,000億円のうち、6074億円が後期高齢者医療給付分として、そのほか被用者保険として2,600億円が増加しています。

(出典:Nippon,com https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00561/)

医療費の額は途方もない金額のため、イメージするのが難しいですが、動いているお金は私たちが普段使っているものと全く一緒です。 例えばこの医療費43兆円の1%、4,300億円が他の事業に使えたとしたら、どんなことができるでしょう?

病気にかかるとお金がかかる

ここからは患者数と治療費を見ていきたいと思います。
平成29年の患者調査(総患者数)では※約3,155万人がなんらかの疾患で入院もしくは外来で治療をされています。
 ※患者調査では、例えば1人で3つの疾患を持っている場合、それぞれ1人と数えられます。

この中には先天性の疾病も含まれているため、生活習慣で予防できるメタボリックシンドロームと関係が深い疾患について詳しく見てみましょう。高血圧は993万人。糖尿病は328万人。脂質異常症は220万人です。(平成28年の国民健康・栄養調査では糖尿病有病者・予備軍合わせ約2,000万人との報告もあります。)

この疾患の医療費は、たとえば高血圧で1兆7,907億円。糖尿病で1兆239億円が使われています。治療が良い方向に進み、コントロールできればよいのですが、治療がうまくいかない場合、また次の疾病へと続くことになり、さらなる医療費増加の原因になります。

(出典:川崎重工健康保険組合 https://www.khi-kenpo.or.jp/health_promotion/tokutei_metabo.html)

糖尿病が悪化して腎症になってしまった場合はどうでしょうか。糖尿病性腎症が原因で人工透析になってしまった方は約4割と、割合の多くを占めています。
人工透析は月に40万円程、年に換算すると480万円ほどの医療費がかかります。また、お金もかかりますが、それ以上に実生活への負担もあります。
現在日本で人工透析を受けている方は約335,500人。割合から考えると、このうち糖尿病が原因で透析が始まってしまった方は134,200人になります。
これに治療費をかけると536億8,000万円/月となります。
糖尿病の発症予防・重症化予防ができれば、この費用が別の事業や取り組みに使えるはずです。

(出典:国税庁 公共事業関係費の内訳 https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page17.html)

例えば糖尿病にかかり、薬が処方されると月に約5,500円かかると言われています。このお金は予防ができていれば、払わなくて良かった金額です。それなら、月5,500円で予防に取り組んだ方が有意義ではないでしょうか。

健康のために月5,500円かけるとしたら、食事の見直しや運動のための道具を購入したり、知識を習得するために本を買ったりするなど、さまざまなことができると思います。もちろん貯蓄も良いと思います。ですが病気にかかった時のための貯蓄ではなく、病気にかからないための自己投資の方が楽しい生活になるのではないでしょうか。

栄養士として何ができる?

前述したように、病気にかかるとお金がかかります。このことを前提になぜ「予防」が必要かあらためて考えていただきたいと思います。病気は家計を圧迫し、最悪の場合「貧困」を招きます。
病気を持った状態の貧困は、ただお金が無くなるだけの貧困とはワケが違い、そこから復帰するには非常に長い時間と労力がかかることが想像できます。それは個人だけでなく、家族も巻き込んでしまう貧困かもしれません。

(出典:国際連合情報センター https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/sdgs_icon/)

そして貧困は世の中を不安定にします。
それはドラマや映画の中だけの話ではなく、実際この世界でも起きていることです。そうした状態にならないために、「予防」があり、その方法は「食事と運動」が非常に重要だと思っています。

(出典:THE WORLD BANK プレスリリース https://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2017/12/13/world-bank-who-half-world-lacks-access-to-essential-health-services-100-million-still-pushed-into-extreme-poverty-because-of-health-expenses)

医療資格の中でも、栄養士は特に食材や料理についての勉強をしてきている職種です。
食事は軽視されがちですが、食べた物でカラダが出来ていることは揺るぎない事実です。そのため栄養士は普段の食事を通して「予防」を伝えられる重要な役割を持つ職業だと私は考えています。

健康第一!カラダが資本!

今回は世界保健デーに合わせて、健康とお金のことについてざっくりとまとめてみました。
誰もが病気になりたくてなっているわけではありません。ですが生活習慣病の数字を見ると残念ながらまだ予防の意識や実践する方はそこまで多くはないのかも知れません。
病院の治療に使うのも、おいしい物を食べるために使うのも、旅行に使うのも等しく同じ「お金」です。
病気にかかると治療費以外に通院や診察待ちで時間も失います。入院となればその期間働くとこも趣味に時間を使うこともできません。

普段の食事を節約のためにコンビニの菓子パンだけで簡単に済ませていないでしょうか?それは得しているように見えますが、長い目で見ると実は大きな損をしているかもしれません。このコラムがあらためて予防とは、何を防ぐためにすることか、考えるキッカケになりましたら幸いです。

 

参考文献
患者調査 平成29年調査の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/index.html

糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/calendar/chousa/population.php
https://dm-net.co.jp/seido/02/

内閣府 高齢者社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/html/zenbun/index.html

厚生労働省 平成29年度 国民医療費の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/17/index.html

一般社団法人 全国腎臓病協議会
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/about/class/diabetic-nephropathy/
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/expense/

総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc135230.html

Nippon,com
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00561/
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00411/

川崎重工健康保険組合
https://www.khi-kenpo.or.jp/health_promotion/tokutei_metabo.html

国税庁 公共事業関係費の内訳
https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page17.html

 

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      431日前

      Eatreat編集部です。今日は世界保健デーです。ぜひ健康について考えるきっかけに!

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WRITER

今日は世界保健デー。「予防」についてあらためて考えてみませんか?

沢目 晃誠

ロカボ(適正糖質)に関する情報はこちらから ・サラヤ公式HP(https://www.saraya.com/) ・ラカント公式HP(https://www.lakanto.jp/) ・ロカボスタイル公式HP(https://www.locabostyle.jp/)

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