いつまでも自分らしくいるために
超高齢社会の現在、65歳以上の約7人に1人は認知症であると言われています。この認知症のうち67.6%は、アルツハイマー型認知症と呼ばれるものです。これは「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質が脳に蓄積することによって、健康な脳の神経細胞が壊され、脳が次第に萎縮する病気です。明確な症状が出る前の約20年間は、無症状のままアミロイドβの蓄積が始まっていると言われています。無症状のうちにアミロイドβの蓄積が進んでしまうことのないように、食事や運動、地域の交流などで、いつまでも若い脳であるように努めれば認知症になるリスクを減らすことが出来ます。
今回はその中でも食生活についての情報をまとめましたので、ご紹介したいと思います。
認知症とは?
認知症とは、さまざまな原因で脳の細胞が壊れて記憶力だけでなく、理解する力や判断する力がなくなり、日常生活に支障をきたしている状態のことを言います。老化に伴う物忘れと病気による物忘れは似ているようで違います。
例えば、誰かと偶然会った時に「会ったことがあるのは覚えているけど、名前はなんだったかな」と思うのは心配ないですが、「会ったことを覚えていない」というように、経験したこと自体を忘れてしまう場合、心配な物忘れになります。
また軽度認知障害とは、主に物忘れの症状があるものの、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない状態です。しかし、軽度認知障害の方は年間で10~15%が認知症に移行するとされており、認知症の前段階と考えられています。
バランスのよい食事が脳の老化を防ぐ
食生活で意識したいのは偏った食べ方をせずに、いろいろな食品をとることです。世界中の大規模な研究から、認知症を予防するためにはバランスのよい食事が大事ということがわかってきています。野菜やきのこなどの食物繊維を多く含む副菜、肉や魚、卵、大豆などのたんぱく質を多く含む主菜、ご飯やパン、麺類、芋類などの炭水化物を多く含む主食の3つが揃うと「バランスがいい食事」と言えます。これは昔から日本にある「一汁三菜」の形です。
病気の治療も認知症予防のひとつ
糖尿病や高血圧、脂質異常症などといった生活習慣病があると、認知症になる可能性が高いということから、これらの病気の予防や治療は、認知症になるリスクを減らすことにもなるということがわかってきました。高血糖や高血圧、脂質異常症の状態が続くことによって動脈硬化が進行すると、脳内の血管も硬化が進んでしまい、通常よりも血液の流れが悪くなります。血管がもろくなり、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害を起こした結果、脳血管障害による認知症を起こす恐れがあります。
参考文献
・これでわかる認知症予防 幸せなシニアライフのために 石井映幸 2018年10月
・相談e-65.netホームぺージ https://sodan.e-65.net/
・認知症ねっとホームページ https://info.ninchisho.net/
・健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/index.html
・厚生労働省老健局 “認知症施策の総合的な推進について” 令和元年6月20日
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000519620.pdf#search='%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81+%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87+%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E5%9E%8B+%E5%89%B2%E5%90%88
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