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学校給食実施基準の改正を受けて、栄養素の摂取基準が変更されました。また、学校給食に地場産物を使用すること、食に関する指導の「生きた教材」として使用することなど、食に関する感謝の念を育むことが重要となっています。これらを学校の教育や給食活動に導入させるための工夫が必要です。

摂取基準改定による工夫

今回の改定で大きく変更があったのはナトリウム(食塩相当量)です。食事状況調査では、すべての児童生徒が目標量を超える量を摂取しているという結果となっており、摂取過剰な傾向にあります。だしを効かせる、食材の組み合わせ、お酢の利用など、調理の工夫で摂取抑制につながるような献立作成の力が問われます。それに加えて望ましい栄養バランスについて、児童生徒への指導のみならず、家庭へも情報発信を行うことにより、児童生徒の食生活全体の改善を促すことが必要です。
また、食品構成に基づいて多様な食品を摂取することは、栄養素をバランス良く摂取するために重要です。そのためには、児童生徒の嗜好の偏りをなくすとともに、さまざまな食に触れることができるよう、学校給食で多様な食品を使用することが大切です。その際、幅広い献立を提供し、これらを活用した食に関する指導を行うことが重要だと言えます。

生きた教材としての食育

生きた教材とは、栄養バランスの取れた魅力ある美味しい給食であり、児童・生徒が将来選択していく食のモデルとなることが理想だと思います。使用する食材の産地や自然、産業、栄養価、料理のルーツや由来など、一つの給食から学べることはたくさんあります。栄養士は教職員と連携し、発信する材料を増やす努力が必要です。
また、地場産物や郷土料理、世界各国の料理などを献立に組み込み、日本文化の継承や、国際理解豊かな食経験を育むことも重要です。そのためには、各学年の教科で学んだ食に関する知識などを給食の時間で体験できるよう、学校全体での食育への取り組みが必要です。

充分な給食時間の確保

給食の時間について学校給食実施基準では、「給食の準備から片付けを通して、計画的・継続的に指導することが重要」とありますが、現状では準備から片付けまで30分しかないという学校も多く、実際に食べる時間が十分に取れていないという問題があります。児童・生徒の豊かな給食活動のためにも適切な給食時間を確保することが今後の課題だと思います。


 

参考文献
・文部科学省:「学校給食実施基準の一部改正について」 https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1407704.htm


 

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      930日前

      学校給食実施基準の改正を受けて今後の給食に求められることを、イートリスタの池水さんの視点で執筆いただきました。

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WRITER

今回の改正を受けて今後の学校給食に求められること

池水 りか

お菓子作り、COFFEE、キャンプごはん作りが大好きな学校栄養士です。 見た目も楽しく、安全で健康的な給食づくりをモットーに、日々の献立作成に取り組んでいます。 「おいしい!」の力は無限大。食を通して誰かの日々をより楽しく幸せに彩ることができるようなお仕事をしていきたいです。

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