COLUMN

管理栄養士の仕事のイメージとのギャップ

私が給食委託会社で働いていた時、後輩の管理栄養士に「こんなことをするために管理栄養士になったわけじゃありません!」と言われたことがありました。病院や施設に勤務する、いわゆる直営の管理栄養士になれば、栄養指導や栄養サポートチーム(NST)、栄養ケアマネジメント、介護予防の栄養相談などの栄養士業務に従事できますが、給食委託会社に勤務する、いわゆる委託の管理栄養士では、発注、調理、配膳、在庫管理、衛生管理、人材管理、食材費の管理、帳票類の管理などがメインの仕事になってきます。(契約内容によっては、委託側で献立作成を行う場合もあります)後輩にとって、管理栄養士のイメージは、白衣を着て病棟を回ったり、栄養指導をしたりと格好のいいもので、室温40度超え、湿度90%以上という現場で汗をかきながら、大量調理をする毎日などは想像していなかったのかもしれません。

給食の現場経験の重要性

給食委託会社での仕事は、栄養士業務の中の現場実務の部分を担うことが多いため、イメージは良くないかもしれません。しかし、栄養士の土台を築くためには、とてもいい場所だと思います。私が委託元の栄養士だったとき、給食委託会社の調理師とのコミュニケーションが大変でした。彼らにとっては、ただ事務所に座っているだけの口うるさい奴くらいに思われていたのでしょう。

ある日、行事食の献立で調理師の反発にあい、すべての調理を私がするというできごとが起きました。そのようなトラブルに対応できたのも、給食委託会社にいたときの経験と自信があったからだと思います。その日を境に、調理師の方々の態度や現場の空気は一変し、食事提供が丁寧になるなどいい方向へ変わっていきました。人手が不足しやすい現場での仕事は大変なことは多いですが、現場を知らない管理栄養士よりは、現場を経験してきた管理栄養士の方が強みが多いのではないでしょうか。現場の作業を考慮していない献立ではなく、使える調理設備の数や、時間配分、現場の流れを考えた献立作成ができるようになると思います。そして、給食委託会社は様々な事業所を持っているので、転職することなくたくさんの現場を見るチャンスがあります。給食委託会社での経験は決して無駄にはならないので、がんばってください。

 

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みんなのコメント( 6

    • ID: 459
      2725日前

      学生です。給食関連っていちばん身近な就職先だと思いますが、大変そう…となんとなく敬遠していました。でも経験は無駄にならない、土台作り、というお言葉がすごく響きました。

    • ID: 361
      2755日前

      「室温40度超え、湿度90%以上という現場で汗をかきながら、大量調理をする毎日」の部分にグッときました。みなさんそういう中でがんばってらっしゃるんですね。

    • 若林 由香里
      2899日前

      大倉さん、コメントありがとうございます。
      現場での経験が無駄ではなかったと思えたという言葉、心強いです。
      現場で大変な思いをしている栄養士さんたちに、スキルを積んでいる時期と考えて頑張ってほしいと思います。

    • 大倉 あやこ
      2907日前

      私も、現場から入り、こんなことするために管理栄養士になったんじゃないのに、、、と残念な思いをしてきましたが、フリーになってからでも要所要所でその経験が役立ちます。
      無駄な経験は何もなかったんだな、と思えるまではそれなりの時間はかかりましたが、現役で頑張っている現場の栄養士さん方、疑問を感じても、きっと役立つスキルなんだと信じて進んで欲しいと思います。

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WRITER

若林 由香里

大学卒業後、社員食堂、病院、老人保健施設で大量調理、献立作成、衛生管理など委託と直営の管理栄養士としての経験を積み、3人の子どもに恵まれ育児に専念。食の大切さを痛感する。委託会社の栄養士パートから社会復帰し、保健センターで乳幼児健診の集団や個別指導、保育園やデリカの献立作成、介護研修の料理講師など幅広く活動。

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