進む女性の社会進出
永濱利廣氏の「男性不況」という書籍が出版されて以来、女性の社会進出が注目されています。2016年女性初の東京都知事となった小池百合子氏やドイツ大政党党首・首相のメルケル氏など、女性活躍のニュースを目にする機会も増えています。女性の雇用は右肩上がりで増加し、就職における男女差が少なくなったり、職場における女性の地位が向上したりといった、国際的にも、国内においても女性の社会進出に大きな変化が見られるようになってきました。
こうした状況の中で、現在私は、管理栄養士を養成する女子大学の教員として高等教育機関における女子教育に携わっています。高等教育機関での女子教育では、女性の持つしなやかさ、協調性の中に芯の強さを持つことの大切さ、社会を導く基盤となる「自分自身で積極的に行動する力」、「社会のニーズを捉える力」、「人の意見を理解しようとする力」などの基礎となる土台づくりが重要であると考えています。こうした基礎固めを高等教育機関で行うことは、専門分野を追及するのに役立つだけでなく、将来さまざまな方向へと飛躍できる可能性を持っていると考え、日々学生教育に励んでいます。
しかしながら、女性の社会進出が徐々に取り上げられていても、男女の性差は歴然としていて、女性の雇用が上昇してきていても女性がリーダーシップを発揮できる環境は未だ少なく、共働きをする女性の多くは家庭の負担が大きいのも現状です。このような状況の中で合理的な生活を送るにはどのようにしたらよいのか、私自身も日々模索しているところです。
今回は、現在、管理栄養士養成課程の大学教員をしながら、プライベートでは6歳の幼稚園児の母として、どのように奮闘しているかをご紹介し、私見を述べさせていただきます。
ライフイベントの変化に対応する原動力
管理栄養士・栄養士のみなさんは、ご結婚前は、この専門性を活かして、ご活躍されていたことと思います。女性のライフイベントの中で、結婚、出産、育児、この3つイベントで仕事と家庭との選択の岐路に立たされるのではないかと考えます。
私自身も30歳を目前にして結婚、その後しばらくして妊娠出産を経験しました。結婚時に夫には仕事をやり続けたい意向を伝えました。管理栄養士になると決めた時から、手に職をつけて一生仕事をやり続けたいと考えていたからです。この気持ちは一番大切なのではないかと思います。自分がこの仕事を一生やり続けたいという意思こそが、結婚、出産、育児のライフイベントに立たされた時に乗り越えられる原動力になるのではないかと考えるからです。
結婚時は、男性は給与がダブルインカムになるので、喜んで仕事との両立に賛成するかもしれません。しかしながら、その時にはまだ現実に立たされておらず、女性の家庭との両立には理解と協力が男性自身にも課せられることについて、共に生活していくことによって、初めて現実のものとなります。
この問題が特に大きく明白になる時期、それが出産、育児の時期です。夫となる男性も仕事をしているため、家事、育児の分担比率については、どうしても女性の比率が高くなってしまうのが現状です。この不公平感をどのように解消していくかが、今後女性が更に社会進出していく上で、大きな課題、鍵になると思います。
②へ続く
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