甘味料にはどんなものがあるのでしょうか?
甘みは、私たちが感じる味覚のひとつで、おいしさの大切な要素です。甘味料の分類は様々ありますが、大きく分類すると、「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」の2種類に分けられます。糖質とは、炭水化物のうち、消化されにくい植物繊維を除いたものを指します。
「糖質系甘味料」は砂糖、蜂蜜、メープルシロップ、ブドウ糖、異性化糖、果糖、デンプン糖、糖アルコールなどに分けられます。「非糖質系甘味料」は、さらに「天然甘味料」と「人工甘味料」に分けられます。
「天然甘味料」の代表例としてはステビアがあります。ステビアはパラグアイとブラジルの国境地帯に自生する多年草で、特に葉に強い甘みがあります。この乾燥させたステビアの葉から甘み成分を抽出します。砂糖の300倍の甘さを持つ天然甘味料です。世界市場は米国・中国がそれぞれ400t、韓国が300t、日本が200t、オーストラリアが100tとなっており、合計で1500tを超えるようになりました。
これに対して「人工甘味料」は、化学合成によって人工的に作られます。天然の甘味料に比べて数百倍の甘さがあり、低カロリーにすることができます。代表的な人工甘味料には、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、アセスルファムKなどがあります。人工甘味料は、砂糖の数百倍もの甘さがありますが、カロリーが低いのが特徴で、お菓子や飲料など様々な食品に使用されています。
人工甘味料の主な種類について
1. アスパルテーム
アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンが結合したアミノ酸系甘味料です。日本では1983年に食品添加物として認可され、年々使用数量が増え続けており、人工甘味料として最もよく使用されています。砂糖に似た甘さがあり、カロリーも砂糖と同じ4キロカロリー/gですが、甘味度は砂糖の200倍あるのでカロリーを低減することができます。そのため病者用食品の甘味料としても使用されていますが、安全性と危険性が議論されている甘味料です。
フェニルケトン尿症の方は、アスパルテームを使用しないように注意が必要です。フェニルケトン尿症は、フェニルアラニン(必須アミノ酸)からチロシン(非必須アミノ酸)を作る際の酵素が欠損している遺伝病です。病気の治療としては、フェニルアラニンの量をコントロールする必要があるため、アスパルテームの使用を控えなくてはならないのです。
国内市場は2005年から年々増加しています。2015年は約500トンになります。世界市場は、25,000トンに成長しています。現在、世界の地域別需要内訳は、北米8000トン(32%)、アジア・東南アジア7000トン(28%)、欧州・アフリカ5,500トン(22%)、南米4,500トン(18%)です。
2. サッカリン
砂糖の約500倍の甘みがあるうえ低カロリーなので、糖尿病患者や肥満者が砂糖の代わりに使用するのに適しています。ただ、以前に弱い発がん性の疑いが浮上したこともあり、いったん使用が禁止された経緯があります。ただし、新たな実験で発がん性が否認されました。その後日本で認可されましたが、使用量が制限されているということもあり、アスパルテームやスクラロースと比較して、利用は多くありません。
サッカリンは水に溶けない性質があり、チューインガムや加工食品などに使用されています。国内市場は完熟していて、毎年90トンで前後しています。国内販売価格は2000円/kgで落ち着いています。輸入数量2015年は430トン程度です。
3. スクラロース
スクラロースは、砂糖を原料として複数の工程を経て合成されており、砂糖の600倍もの甘さがあります。カロリーはゼロなうえ、水に溶けやすいのが特長です。また熱や酸に強い性質があるので、幅広い加工食品や飲料の甘味料として使われています。
国内市場は110トン市場です。1999年に食品添加物として指定を受けてから、5~6年で市場が急成長を遂げて100トン市場になりましたが、その後も微増しています。国内の延べ品目は17,000品目を突破しています。
4. アセスルファムK
アセスルファムKは、砂糖の200倍の甘さを有していますが、カロリーゼロです。甘みが強く後味の甘味はあまりありません。高濃度で使用すると苦味があるので、アスパルテームや他の甘味料と一緒に使われることが多くあります。熱や酵素に対して安定性が高く水溶性が高く、発がん性も認められず、安全性が確認されています。
アセスファルムKの輸入数量は2015年478トン、国内市場も480トン前後で安定しています。
人工甘味料との付き合い方
人工甘味料は甘味度が高いため使用量が少なくても甘みを感じることができ、カロリーを抑えられることができます。ただし、食品に「カロリーゼロ」と記載されていても、必ずしも「カロリーが完全にゼロ」ではないことに留意しましょう。食品成分表示のルールで、食品100g(飲料100ml)あたりのエネルギーが5kcal未満の場合は「カロリーゼロ」と表示することができます。
カロリーゼロを謳った食品や飲料などは裏面表示を見て、どんな食品添加物・人工甘味料を使用しているのかを確認するくせをつけるのがいいのではないでしょうか。糖尿病の方などは、医師や管理栄養士に相談するなどして、上手に食生活に取り入れていきたいですね。
出典:「(今さら聞けない+)甘味料の種類」http://www.asahi.com/shimbun/nie/kiji/20140510/
出典:「独立行政法人 農畜産業振興機構」
https://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/fa_0707c.htm
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001159.html
出典「スクラロース」
http://sucralose.jp/about-sucralose/
出典:「H27年度マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査について」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000140767.pdf
出典:「食品添加物・機能性素材市場レポート2016」
出典:東洋経済「カロリーゼロ」、太って病気まっしぐら!
http://toyokeizai.net/articles/-/48584
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