「免疫力を高めよう」「免疫力をつけよう」など、免疫という言葉を冬になるとよく耳にしますよね。免疫とは具体的にどういうことかというと、病原体から体を守るために人間に備わっている機能のことです。
「免疫力を高めよう」というのは「体の機能を高めよう」ということなのです。
そこで、体の機能や免疫力を高めるための栄養素にはどのようなものがあるのか、みていきたいと思います。
免疫力と大きく関わるエネルギー産生栄養素
私たちが生きる中で大切なエネルギー源となる炭水化物、たんぱく質、脂質は、体を守るために重要な役割を担っています。これら3つのエネルギー産生栄養素が土台となり、体の健康を保っているのです。
炭水化物は主に熱を作り出し、体温の維持やエネルギー源として働きます。体温は免疫と大きく関わっていて、体温が上がると血液の流れもよくなり、免疫細胞である白血球が体のすみずみまで行き渡るようになります。また、免疫細胞の働きも活発になるので、体温が上がると免疫力が高まると考えられています。
たんぱく質は体の材料になる栄養素です。血管や皮膚などの細胞は、全てたんぱく質から作られています。たんぱく質が不足すると、皮膚や血管の弾力が落ち、体力や免疫力も低下しやすくなります。
脂質のコレステロールは、細胞膜の材料となります。細胞膜がしっかり作られていることで病原体の侵入を防ぐ役割があり、とても大切な栄養素なのです。
免疫力を高めるビタミンとは?
ビタミンは、体の働きをサポートする栄養素です。中でも抗酸化作用を持つビタミンC、ビタミンA、ビタミンEは免疫力に大きく関わっています。
ビタミンCは、病原体が体内に侵入してきたときに戦う免疫細胞をサポートする働きをします。ビタミンCは水溶性のため、体に貯めておくことができません。そのため、毎日の食事や間食から摂取することが大切です。
ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保ちます。ビタミンAが不足してしまうと、皮膚や粘膜が傷つきやすくなり、抵抗力も弱まりやすくなります。
ビタミンEは、細胞膜に存在し、細胞膜を作っているリン脂質が酸化するのを防いでくれます。リン脂質が酸化してしまうと過酸化脂質ができ、それにより細胞膜が障害されてしまいます。
これらのビタミンを多く含む食べ物には次のものがあります。
ビタミンC:柚子やパプリカ、緑茶
ビタミンA:人参やブロッコリー、ほうれん草などの野菜
ビタミンE:アーモンドなどナッツ類
腸内環境を整えると体の機能を高められる
体の機能を高めるためには、腸内環境も大きく関わっています。腸内にはさまざまな腸内細菌が存在しており、それらのバランスを整えて腸内環境を良くすることが大切です。
大麦やきのこ、海藻、ごぼうなどの野菜類に多く含まれる食物繊維は、消化吸収されずにそのまま腸に届いて善玉菌のエサとなり、腸内環境を良くしてくれます。また、食物繊維は便のカサを増やして便通を良くさせる働きもあります。腸に溜まった不要なものを外に出せれば、体の調子も良くなりますよね。
その他には、発酵食品も腸内環境を良くしてくれるのでおすすめです。納豆や味噌、酢、ぬか漬け、甘酒、ヨーグルトといった発酵食品には、乳酸菌や納豆菌などが含まれていて、腸内環境を良くする善玉菌を増やす働きがあります。また、これらの菌は生きたまま腸まで届かなくても、死骸が善玉菌のエサとなります。
これらの栄養素を上手に取り入れる方法
さまざまな食品からいろいろな栄養素を摂取して、栄養素が偏らないようにしましょう。もちろん体に良いとされているものばかりを食べることも、栄養素が偏るためおすすめしません。
良い方法は1日3食とり、主食+主菜+副菜を組み合わせることです。また、たんぱく質である肉や魚、卵、大豆製品、乳製品は、1日のうちで食材がかぶらないように組み合わせると良いでしょう。
ぜひ、毎日の食事作りや食事選びに活かしてくださいね。
参考文献
・公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「免疫力を高める食事とは」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/menekiryokuotakamerushokuji.html(閲覧日:2020年12月7日)
関連コラム
腸内フローラって何?
腸内フローラを改善する食生活とは? ①
腸内フローラを改善する食生活とは?②
食事で身体のバリア機能を高めよう!(会報誌「あはは」連載)