COLUMN

昨今、プリン体ゼロビールや低プリン体飲料などの健康志向商品が続々登場しています。栄養指導の現場でも話題に出ることも多いのではないでしょうか?
今回は、尿酸値はなぜ上がるのか?尿酸とプリン体は同じ?という素朴な疑問にお答えしたいと思います。

尿酸とは?プリン体との違いとは?

プリン体とは、細胞の中にある核酸を構成する成分の一部で、身体を動かすときや脳が活動するためのエネルギー源になるATPの一部でもあります。
プリン体はほぼすべての食品に含まれており、食品からとったプリン体は、血液を通って肝臓で代謝され尿酸に分解されます。尿酸は、プリン体が代謝されてできる最終代謝産物の一つです。

尿酸値が上がるのはなぜ?

プリン体が代謝されてできた尿酸は、主に腎臓でろ過され、尿に溶けて排泄されます。(一部は、汗や便などからも排泄されます)
この機能が正常に働いている状態では、尿酸が過剰になることなく、一定に保たれます。
しかし、尿酸が作られる量と、排泄される量とのバランスが崩れると尿酸が一定に保たれなくなり、高尿酸血症を引き起こします。

高尿酸血症3つのタイプ

上述の通り、尿酸が作られる量と排泄される量のバランスが崩れると高尿酸血症を引き起こしますが、以下の3つのタイプに分けられます。
最も多いのが、②の尿酸排泄低下型で約6割を占めるといわれています。また、③混合型と合わせると、約9割が当てはまるともいわれています。

①尿酸産生過剰型:尿酸の排泄は正常だが、過剰に作られる状態
 原因/プリン体を多く含む食品の食べすぎ、ビールなどの飲酒、ジュースなどに含まれる果糖のとりすぎなど

②尿酸排泄低下型:尿酸が作られる量は正常だが、排泄されにくくなった状態
 原因/肥満、水分不足、アルコールの飲みすぎ、腎障害、服用している薬の作用など

③混合型:尿酸が過剰に作られるし、排泄もされにくくなった状態
 原因/肥満、アルコールの飲みすぎなど

まとめ

尿酸は、プリン体が代謝されてできる代謝産物です。高尿酸血症には3つのタイプがあります。管理栄養士・栄養士として、それぞれのタイプに合わせた指導をすることが大切です。
最終回では、高尿酸血症の食事療法についてご紹介します。



参考文献
・日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改定委員会:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 2022年追補版、診断と治療社(2022)




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WRITER

松岡 喜美子

循環器病予防療養指導士 かがわ糖尿病療養指導士,ベーシックインストラクター(JCCA)、貯筋運動指導者、歯科栄養アドバイザー2級 大学卒業後、糖尿病クリニックでの栄養指導に従事しながら健康運動指導士を取得。 2008年よりフリーとしての活動を開始。 特定保健指導の立ち上げからスタッフ育成などにも携わり、これまでの指導件数は1万件以上。 生活習慣病予防セミナーの講師や企業やスポーツクラブでの運動指導なども行っている。 その他、企業HPのコラム執筆なども担当し、健康情報の発信や商品マーケティングなども行っている。 「栄養不良の二重負荷」という問題に対して、世界に貢献できる管理栄養士を目指しています。

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