管理栄養士・栄養士の仕事の幅が広がりつつある中、スポーツ分野における活躍の場として「公認スポーツ栄養士」の資格を取得し、日々の仕事に活かしていくという働き方があります。
公認スポーツ栄養士とは
(公社)日本栄養士会と(公財)日本スポーツ協会の共同認定による資格です。取得するには管理栄養士であることなど一定の条件を前提に、書類選考、カリキュラムの受講、インターンシップ、検定試験(筆記、口頭試問、プレゼンテーション)をすべてクリアする必要があります。
一言でスポーツといっても、健康づくりから競技力向上まで目的はさまざまです。また、サポートにおいては、チーム医療と同じく他の専門スタッフと連携しながら円滑に進めていく必要があります。
公認スポーツ栄養士には、その現場のニーズに的確に対応できる高いスキルが求められています。
公認スポーツ栄養士の活躍の場
スポーツ栄養というと、トップアスリートがメダルをとるための栄養管理のようなイメージがあるかもしれませんが、決してそれだけではありません。
ジュニアスポーツから中高年の健康増進分野、ダイエットやボディメイクなど「目的をもって身体活動に取り組む人」のすべてが対象者となります。そのため、働く環境も幅広く、スポーツチームやフィットネスジム、教育機関、医療機関、行政など多岐にわたります。
私が取得したきっかけ
私は20代後半の頃に趣味でマラソンを始めました。フルマラソンやウルトラマラソンといった長い距離を走る大会にも出場する中で、良い結果を出すためには、栄養面からのコンディション管理がとても大切だということを実感するようになりました。
また、一緒に楽しむマラソン仲間から食事のアドバイスを求められたり、マラソンイベントでスポーツ栄養のミニ講座をさせていただくうちに、自分自身のためだけでなく「スポーツに取り組む人を“サポートする”」ことに大きな魅力を感じるようになりました。
公認スポーツ栄養士の取得は非常に難易度が高いですが、共に目指す受講仲間と励まし合いながらチャレンジを続け、2019年に合格することができました。
現在の仕事にどのように活かしているか
私は、現在フリーランスの管理栄養士として活動しています。
スポーツ分野での活動としては、主に大学生アスリートへの栄養サポートです。部活動における競技力向上のために、体づくりやケガの予防などを目的とした栄養教育を行っています。
健康分野では、特定保健指導の相談員として、メタボリックシンドロームの予防・改善における生活習慣サポートを行っています。健康的な減量に励んだり、検査数値を良好に導くためには、身体活動に伴ったエネルギーや栄養素の摂取、タイミングなどを考慮した食生活を提案する必要があります。
対象者のさまざまなシーンに寄り添いながらサポートしていくために、公認スポーツ栄養士を取得する上で身につけた幅広い知識やスキルを活用し、日々の仕事に取り組んでいます。
「公認スポーツ栄養士としての私の仕事現場 ~後編~」へ続く。
参考文献
・鈴木志保子:「健康づくりと競技力向上のためのスポーツ栄養マネジメント」日本医療企画(2011)
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