妊娠中はコーヒーを飲んでも大丈夫?
妊娠中は体調の変化が多く、心も身体も敏感になっていますので、心地よくのんびり過ごせる時間はとても大切です。妊娠前であれば、コーヒーを飲んでリラックスしたいところですが、妊娠中にコーヒーは飲んでもいいのでしょうか? 今回は、妊娠中のカフェインについて解説します。
カフェインが胎児にあたえる影響とは?
妊娠中にカフェインを摂取すると、胎盤を通過して胎児にまで届きます。胎児は、カフェインを分解するのに、大人の約20倍もの時間がかかるともいわれています。カフェインが胎児の成長に関係するという明確な根拠は、まだはっきりしていません。しかし、胎児の負担を考えると、カフェインは控えたほうがいいでしょう。
カフェインが母体にあたえる影響とは?
カフェインは適量であれば、内臓や筋肉の動きを活発にする作用があります。しかし、飲み過ぎると、自律神経を刺激して、身体に負担をかけてしまいます。そのため、流産や低出生体重児の確率を高める可能性があるという報告があります。
また、カフェインの多いコーヒーやお茶は、妊娠中に特に必要となる鉄やカルシウムの吸収を阻害したり、身体を冷やしたりなどの影響もあります。このように、母体にあたえる影響という点でも、妊娠中のカフェイン摂取はあまりおすすめできません。カフェインの摂りすぎには、十分注意しましょう。
コーヒー以外の飲み物は大丈夫?
ノンカフェインの飲み物であれば大丈夫との油断は禁物です。カフェインが含まれていなくても、高糖質、高エネルギーの飲み物は体重増加の原因になりますので、注意しましょう。それでは、コーヒー以外の飲み物について、妊娠中に飲んでも大丈夫かを見ていきましょう。
お茶
緑茶は、コーヒーと同様にカフェインを含んでいます。また、緑茶やコーヒーに含まれているタンニンは、鉄分の吸収を阻害します。食事中の鉄分はタンニンと結びついて、尿中に排泄されてしまいます。そのため、カフェインと同時にタンニンの摂り過ぎにも注意が必要です。
番茶とほうじ茶は、緑茶に比べると、カフェインの量は少なめです。中国茶であれば、杜仲茶はノンカフェインとされています。お茶は、麦茶やそば茶などカフェインを含まず、タンニンの含有量も低いものを選ぶのがいいでしょう。
ココア
ココアにもカフェインは含まれています。コーヒーやお茶に比べて、含有量は少ないですが、糖質や脂肪分の摂りすぎに繋がりやすいので、注意が必要です。また飲み物ではありませんが、ココアと原料が同じであるチョコレートにもカフェインが含まれています。
栄養ドリンク・エナジードリンク
疲れたときには、栄養ドリンクが飲みたくなることもあるかもしれません。栄養ドリンクやエナジードリンクには、カフェインが含まれているものがほとんどです。疲れを感じた時には、栄養ドリンクに頼らず、良質なたんぱく質や鉄分を意識して摂りましょう。
ハーブティー
ハーブティーは、心と身体の疲れを両方とも穏やかにしてくれるので、魅力的です。基本的にはノンカフェインですが、ハーブティーの中にも、子宮を収縮させる成分が含まれているものがあります。子宮が収縮すると、切迫流産の恐れがありますので、注意が必要です。ハーブの成分など、知識を押さえながら、妊娠の時期にあったものを選ぶことが必要です。また、効果がうたわれているからといって、好みではないものを無理して使用するのは、おすすめしません。
不安なことは主治医に相談
妊娠中は多くの不安が伴います。持病があったり、妊娠の経過に不安があったりなど、おかれている状況は人それぞれです。世の中には、いろんな情報があふれ、健康にいいといわれる食品も手軽に手に入る時代です。しかし、なんでも鵜呑みにしてしまうのは危険です。妊娠中に口にしても大丈夫か、不安に思ったときには、必ず主治医をはじめ医療機関に相談しましょう。
参考文献
妊産婦のための食生活指針 厚生労働省
東京都福祉保健局ホームページ 東京都食品安全FAQ http://food-faq.jp.net
初めての妊娠・出産 笹森幸文 ベネッセコーポレーション 2016
FirstPre-mo─妊娠がわかったらすぐ読む本─ 主婦の友社 2016
赤ちゃんすくすく時期別妊娠中の食事 笠井靖代・佐藤真之介 西東社 2016
妊娠中から授乳中のママのための食事と栄養お悩み解決ブック 竹内正人 かんき出版 2015
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