厚生労働省は、妊娠中の女性が魚介類を摂取する場合、水銀が及ぼす胎児への影響を懸念し、注意喚起を行っています。安全に魚料理を楽しみたい場合は、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
大型の魚には高濃度の水銀が蓄積されている
水銀は主に自然界に存在し、金属水銀、無機水銀、有機水銀があり、人体にも約3〜4mg程度蓄積されているといいます。
魚は自然界の水銀を食物連鎖の過程で体内に蓄積しており、中でも大型のマグロ、クジラ、サメなどの肉には高濃度のメチル水銀を含んでいます。
水銀が体に及ぼす影響とは?
メチル水銀は一定の摂取量以下であれば問題はないといわれており、平均的な食事をしていれば、水銀の影響が懸念されることはありません。
一般成人が水銀を含む魚を摂取した場合、体内の臓器に蓄積したのちに尿や糞便、毛髪より体外へ排泄されます。
しかし、妊婦が水銀を摂取した場合は、胎盤を通過し胎児に蓄積され、流産や奇形児を産む可能性が高くなる恐れがあります。
ただし、厚生労働省は妊婦および妊娠の可能性のある方に対しては摂取頻度の目安を注意喚起しています。
妊婦の魚の摂取量の目安
2003年厚生労働省は水銀を含む約300種類の食品を公表し、2005年には妊婦の魚の摂取量に注意を呼びかけました。
その基準は、魚介類の種類ごとに「摂取の頻度と、1回あたりの摂取量(魚肉の重量)」を示したもので、例えば「キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツなら、1回約80gとして妊婦は週に2回まで」という具合です。
この基準はFAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が中心となって決めた国際安全基準をもとに厚生労働省が算出した許容量です。
日本では妊婦へのみ摂取量の注意喚起が行われていますが、水銀の基準値には国によって差があります。例えばアメリカやイギリスでは、16歳以下の子どもも対象としており、さらに摂取量を減らすように厳しい勧告している現状があります。
ただ必要以上にナーバスにならず、上手に付き合っていくことが大切です。それでは、次回は具体的な摂取量についてご説明します。
続きはこちら >>妊娠中に注意したい魚介類の水銀②
参考文献
『科学でわかる魚の目利き』成瀬 宇平 ソフトバンククリエイティブ株式会社 2010
『岩波 国語辞典』第5版 株式会社 岩波書店 1995
内閣府 食品安全委員会https://www.fsc.go.jp/sonota/4gou_6.pdf
WHO (日本語に自動翻訳してみてください)http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs361/en/
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