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- 病気(症例別)と栄養
- 2023.11.17
糖尿病とは?原因についてわかりやすく解説します
管理栄養士・栄養士にとって最も知っておくべき疾患の一つでもある「糖尿病」ですが、実際にどんな病気なのかをイメージするのは難しいですよね。今回は、「糖尿病」について原因から症状、治療に対する考え方など3回に分けてわかりやすく解説します。
糖尿病とは? 血糖値を下げる唯一のホルモン「インスリン」の役割
糖尿病とは、「インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主張とする代謝疾患群」と定義されています。
インスリンとは、すい臓のβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持っています。また、血糖値を下げる唯一のホルモンでもあります。
インスリン分泌には、空腹時に分泌される「基礎分泌」と血糖値や消化管ホルモンの上昇により分泌量が増加する「追加分泌」とがあります。
インスリン作用とは、インスリンが体の組織で、代謝調節能を発揮することをいい、適切なインスリンの供給とインスリン必要度のバランスがとれていれば、血糖を含む代謝全体が正常に保たれます。この調節能が適切に働かなくなり、血糖値が高くなる状態が糖尿病です。主な原因には、インスリンの供給不足(インスリン分泌不全/低下)とインスリンが効かず糖を上手く取り込めないインスリン抵抗性があります。
糖尿病4つの分類
糖尿病は、大きく4つに分類されます。
◆1型糖尿病(インスリン供給不足)
すい臓のβ細胞が壊され、インスリンが分泌されにくくなった状態や分泌されなくなった状態を示します。「基礎分泌」と「追加分泌」がともに低下、消失しています。
その原因は、免疫反応が正しく働かなくなり、自己の細胞を攻撃してしまう「自己免疫」と原因が特定されない「特発性」とがあります。
◆2型糖尿病(インスリン供給不足/インスリン抵抗性)
インスリンは分泌されるものの、十分でない状態やインスリンが効きにくくなった状態を示します。主に「追加分泌」が遅延、低下しています。
その原因は、複数の遺伝因子に、高脂肪食を中心とする過食や運動不足のような生活習慣が加わることで発症すると考えられているため、生活習慣病の一つでもあります。
※ 1型糖尿病に分類されない2型糖尿病の内、生活習慣に起因しないものもあります。
◆その他の特定の機序、疾患によるもの
遺伝子異常や糖尿病以外の病気、薬剤、感染症などにより糖尿病が発症した場合を示します。
◆妊娠糖尿病(GDM)
「妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常」で、妊娠中の明らかな糖尿病※1および糖尿病合併妊娠※2は含まれません。
※1 妊娠中の明らかな糖尿病:妊娠前に見逃されていた糖尿病と、妊娠中の糖代謝の変化の影響を受けた糖代謝異常、妊娠中に発症した1型糖尿病のこと
※2 糖尿病合併妊娠:妊娠前にすでに診断されている糖尿病や確実な糖尿病網膜症があるもの
糖尿病の検査と判定「糖尿病型」「糖尿病境界型」「正常型」
▶75gOGTTとは?
3日以上普通の食事(糖質を150g以上含む)をとった後、10時間以上絶食した状態で採血し、空腹時血糖値を測定する。次にブドウ糖(ブドウ糖75gを含む250~350mLの溶液―トレーランG)を服用し、人工的に血糖値が上昇する環境を作り、30分、60分と120分後に採血し血糖値を測定する。
この検査では、インスリン反応(インスリン分泌指数※3)を測定することも可能です。
※3 インスリン分泌指数:75gOGTTで、負荷後30分の血中インスリン増加量を、血糖値の増加量で除した値のこと。インスリンの追加分泌のうち、初期分泌能の指標となります。
インスリン分泌指数=△血中インスリン値(30分値-0分値)(μU/mL)/△血糖値(30分値-0分値)(mg/dL)
まとめ
糖尿病は、インスリンの作用不足によって血糖値が正常に保たれなくなった状態をいいます。その原因により1型と2型に分類されます。2型糖尿病は、突然発症する病気ではなく、「正常型」から「境界型(糖尿病予備軍)」を経て「糖尿病型」へ進行します。早期に発見し、生活習慣を改善することで発症を予防することが可能です。また、適切に薬を使用することで重症化の予防も期待できます。
次回以降で、糖尿病の薬、生活習慣改善の基本となる食事・運動についてご紹介します。
参考文献
・厚生労働省:e-ヘルスネット インスリン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-011. (閲覧日:2023年10月20日)
・国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター:糖尿病とは
https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/index.html
・日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023、文光堂、2022年
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みんなのコメント( 1 )
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- Eatreat 編集部
- 372日前
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WRITER
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松岡 喜美子
循環器病予防療養指導士 かがわ糖尿病療養指導士,ベーシックインストラクター(JCCA)、貯筋運動指導者、歯科栄養アドバイザー2級 大学卒業後、糖尿病クリニックでの栄養指導に従事しながら健康運動指導士を取得。 2008年よりフリーとしての活動を開始。 特定保健指導の立ち上げからスタッフ育成などにも携わり、これまでの指導件数は1万件以上。 生活習慣病予防セミナーの講師や企業やスポーツクラブでの運動指導なども行っている。 その他、企業HPのコラム執筆なども担当し、健康情報の発信や商品マーケティングなども行っている。 「栄養不良の二重負荷」という問題に対して、世界に貢献できる管理栄養士を目指しています。 ★2023年7月~ 訪問栄養指導をスタートしました。 プラダ―ウィリー症候群(PWS)の症例に関わられたご経験がある方、情報共有できたらうれしいです。
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