今回の旬の野菜は3月が旬の「ニラ」です。
古くから栽培されていたニラ
ニラは、ゆり科の多年草。和名をニラ、みらと言い、ねぎの一種になります。主に東アジアや中国が原産とされています。
日本では、8世紀に書かれた「古事記」に「加美良」、平安時代の薬物辞典とされる「本草和名」には「古美良」、10世紀前半に編集された「延喜式」には「美良」と記されており、古くから栽培されていたとみられています。
古くはねぎを「き(葱・岐)」と呼んでいたところから、「ひともじ」と呼ばれていました。それに対して、ニラは「ふたもじ」と呼ばれていたと言われています。
食用の野菜として栽培されるようになったのは、明治に入ったあたりからです。
ヨーロッパの国々ではニラ栽培は見られず、東南アジアから東アジア地域に限定されているようです。
日本の食生活にニラが普及した背景には、昭和40年代後半以降の油脂や食肉の摂取量増加に関係があるのではないかと推察されています。
ニラの旬と栄養素
ニラの旬は春ですが、暑さに強く、春から真夏まで収穫できる数少ない葉野菜です。
ほうれん草には劣りますが、小松菜を上回る量のカロテンを含む緑黄色野菜です。また、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、カリウム、カリシウム、鉄、食物繊維も豊富です。
特有の香りと刺激性の成分は硫化アリルで、にんにく・ねぎ・たまねぎなどと共通のものになります。刻んだり、潰したり、加熱をしたりすることによって、アリインという物質が分解され、酵素が働きアリシンになります。葉先より根元の部分に多く含まれています。
そのため、ニラの風味を存分に活したい料理には、葉先より根元を使うのがポイントです。
硫化アリルは、ビタミンB1の吸収を高める働きがあります。そして肉の臭い消しにもなります。レバーはビタミンB1の宝庫。ニラとレバーは出会うべくして出会い、「ニラレバ」が誕生しているのです。
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おいしいニラの選び方
根元を持った時にハリがあり、葉先までピンとして緑色が濃く、しなびていないものを選びましょう。葉を指でつまんだ時、しっかりと弾力があって肉厚なものがいいですね。茎が太すぎないものの方が、口当たりが柔らかになります。
根元がテープなどで束ねてある時は、外して保存しましょう。葉先が折れないように、濡らしたキッチンペーパーや新聞紙で包み、ポリ袋に入れて野菜室で冷蔵しましょう。保存性がよくないため、購入後は早く使うようにしましょう。洗うと濡れた部分から痛みやすいので、使う分だけ直前に洗うといいでしょう。
ニラをおいしくいただく調理のコツ
生で刻んでポン酢と合わせてニラだれとして使うとおいしいです。お好みで味を加えてみてください。炒めたニラを味噌と合わせてニラ味噌として使う方法もオススメです。
餃子などの具材にもよく使われますね。鍋の仕上げにさっと加えたり。チャーハン、焼きそば、ビーフンに入れたりするのもいいですね。
また、レバーの代わりに砂肝でも。生春巻きのアクセントにも。加熱しすぎると筋っぽくなって歯切れが悪くなるので、短時間で火を通すといいでしょう。もちろん卵との相性もハナマルです。ちなみにニラは白い小さな花も食べることができます。おひたしや天ぷらでいただいてもいいですね。
参考文献
・とれたて大百科 JAグループホームページ https://life.ja-group.jp
・『七訂 食品成分表2016』 女子栄養大学出版部 2016
・『野菜の効用事典』 山口米子 大滝緑 明治書院 2005
・『新・野菜の便利帳 おいしい編』 板木利隆 高橋書店 2016
・『野菜園芸大事典 第4版』 養賢堂 1988
・『地域食材大百科 第2巻』 農村漁村文化協会 2010
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