今回の旬の野菜は1月に旬の「セロリ」です。
和名はオランダミツバといいます。セリ科の1-2年草です。
元々は薬草、野菜として栽培されたのは19世紀以降
古代ギリシャ、ローマ時代には薬用として栽培され、現在のような品種になったと言われています。
野菜として栽培されたのは19世紀に入ってからで、ヨーロッパとアメリカで栽培が盛んになりました。
中国ではヨーロッパと異なり、早くから薬用だけではなく、調理用の東洋種「芹菜(きんさい)」が栽培されており、こちらの方がセロリの原種に近いと言われています。
芹菜は「スープセロリ」「中国セロリ」という名称で販売されています。16世紀末に、加藤清正が朝鮮出兵から中国種のセロリを日本へ持ち帰り、「清正ニンジン」と呼ばれていました。
ヨーロッパ型のセロリが日本にきたのは昭和に入ってからで、長い間、高級西洋料理野菜として扱われてきたため、消費も限られていました。戦後、食生活の変化とともに手に入りやすくなってきて今日に至ります。
豊富な栄養素
カロテン・ビタミンC・カリウムも豊富で、カルシウムとリンの割合が1対1で、これは比率としては理想的な値です。
セリ科の仲間ですが、栄養素的にはセリには及ばない点もあり、淡色野菜となっています。ただし芹菜(きんさい)は、カロテンを40倍も多く含み、緑黄色野菜になります。
葉には茎の2倍のカロテンを含んでいます。また、リモネン・セリネンなど精油成分も多く含まれています。
香り成分のアピインなどのフラボノイドには、肉の臭いを消したり、食欲増進の効果もあります。さらに神経を鎮めたり、血圧上昇を抑えたりする効果があると言われています。最近の研究ではがんを予防する作用が確認されているという報告もあります。
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食物繊維はキャベツくらい
筋ばった茎の部分には食物繊維がたっぷりというイメージがありますが、含まれてる量はキャベツと同じぐらいになります。セロリの有効成分は、硬い繊維に守られて細胞の中にあります。よく噛んで食べる習慣のいいきっかけにもなります。
種子もセロリシードと呼ばれ、茎と葉と同様に香りがあり、乾燥させて粉にし、食塩と混ぜたものをセロリソルトいい、販売されています。
おいしいセロリの選び方
葉の緑が濃くツヤがあり、パリッとしていて、茎が白くて肉厚で太く、縦筋にメリハリがあり筋の間隔も細かく、切り口が変色していたり、穴が開いていたりしないものがいいでしょう。葉先が黄色く変色しているものは控えましょう。株の場合は開き過ぎず、すぼんでいるくらいの形がよいでしょう。
上手な保存方法
葉から水分が失われるので、葉と茎は切り離して、湿らせた新聞紙などで包みポリ袋に入れ、野菜室に立てて冷蔵しましょう。4-5日で食べるようにしましょう。
しなびてしまった時は、水をふりかけて数時間野菜室に冷蔵しましょう。
さわやかな香味を活かした調理
香りと歯触りが特徴で、加熱しても香りは残っています。日本ではこの香りが苦手な方が多く、品種改良では強い香りを抑えることで消費が伸びてきた野菜です。夏場の場合は、葉の変色は高温時には難しい問題であり、中の茎の部分に『す』が入っているものもありますが、外観から見分けるのは難しいようです。
茎の部分は生でサラダやあえ物のほか、煮込み料理や蒸し物、炒め物もOK。葉に近い部分はスープの香味にするのもいいでしょう。きんぴら、ピクルス、ぬか漬けにも。葉の部分は天ぷら、佃煮にも適しています。
さわやかな風味に、ブルーチーズのような個性の強いチーズにも相性は抜群です。
魚介の風味にも合うので、さきいかやかずのことと合わせて、お正月の箸休めにもいいですね。桜えびと炒めてもおいしいですよ。ぜひぜひお試しあれ。
参考文献
・『地域食材大百科』 農山漁村文化協会 2010
・『野菜の本 からだにやさしい旬の食材』 講談社 2013
・『野菜の仕入れ事典』 瀬戸達和 旭屋出版 2008
・『野菜園芸大事典 第4版』 養賢堂 1988
・『簡明食辞林 第2版』 樹村房 1997
・『野菜の効用事典』 山口米子 大滝 緑 明治書院 2005
・『新・野菜の便利帳 健康編』 名取貴光 高橋書店 2016
・『七訂 食品成分表2016』 女子栄養大学出版部 2016
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