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今回の旬の野菜は3月に旬の「クレソン」です。

たくさんの名前を持つクレソン

クレソンは半水生植物。アブラナ科の一種で多年草です。和名はオランダゼリ・オランダカラシ・ミズガラシ、オランダミズガラシ。英語名はウォータークレス、イタリア・フランスではクレソン、その他にも、ウォーターラディッシュ、ウォーターラケット、ヘッジマスタードなどなど、名称が多様です。

薬草として用いられていたクレソン

食糧としても薬草としても古代から評価され、ヨーロッパと中央アジアでは数千年前から栽培されてきたことが明らかになっています。人類が口にした最も古い野菜である可能性が高いとも言われています。
紀元前400年には、ギリシャの医師のヒポクラテスがコス島に初めて作った自分の病院にクレソンを栽培したという記述が残っています。
壊血病(ビタミンC欠乏にて引き起こされ、死に至ることもあります)を予防する効果があることから、ヨーロッパの探検隊により世界に広まりました。日本には明治3-4年頃オランダ人によって伝えられたとされています。一説には、当時上野精養軒より不忍池周辺に繁殖し、続いて各地の池沼や川辺に自生するようになっていましたが、この頃はまだどういった植物かが分からなかったため、一般的にならなかったという説もあります。

代謝に必要な栄養素が豊富なクレソン

カリウム・リン・カルシウム・鉄・マグネシウムなどのミネラルの他に、カロテン・ビタミンC・ビタミンKも豊富な緑黄色野菜です。さらにナイアシン・ビタミンB2・B6・葉酸など身体の代謝に不可欠な栄養素が豊富に含まれているのです。
最近の研究では、クレソンに含まれる植物栄養素(ファイトニュートリエント)が骨や健康の維持、鉄の欠乏を防ぐのに役に立つ可能性が示唆されています。
ピリッとする辛みはシニグリンという成分で、わさびの辛みと同じものです。シニグリンは、酵素の働きによってアリルイソチオシアネートという物質に変化します。この物質は細菌を殺して免疫力を強くする作用や、抗酸化作用が認められています。

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おいしいクレソンの選び方と保存方法

ほのかな香りと苦み、ピリッとした辛みが特徴です。水辺で自生するので、切った茎を水に差しておくと簡単に発根してきます。白く小さな花の後にできる種子も食用になります。
葉が大きくて緑色の濃いもの、葉と葉の間がつまって茎が太くて柔らかいものがいいでしょう。茎の途中からひげ根が出ているものは控えましょう。
乾燥に弱いので霧吹きで葉を湿らせて新聞紙で包み、野菜室へ冷蔵しましょう。3日以内に食べるように心がけましょう。コップなどに水を入れて差し、葉に袋をかけて冷蔵庫に入れておくと2日ほど長持ちします。

クレソンの使い方

肉料理の添え物として常連のクレソン。生でも加熱してもおいしくいただけます。添え物としてだけでなく、サラダやサンドイッチにも。また、蒸しても炒めてもOKです。じゃが芋と牛乳、生クリームと合わせてポタージュにしてもおいしいです。柔らかな葉を食べることが多いですが、茎も栄養豊富です。付け合わせのみではなく、おひたしや煮びたし、天ぷら、鍋料理にも挑戦してみてください。

参考文献
・『ハーブ&スパイス大事典』 ナンシー・J.ハジェスキー 日経ナショナルジオグラフィック社 2016
・『地域食材大百科』 農山漁村文化協会 2010
・『簡明食辞林 第2版』 樹村房 1997
・『野菜まるごと事典』 猪俣慶子 成美堂出版 2012
・『野菜園芸大事典』 第4版 養賢堂 1988
・『野菜の効用事典』 山口米子 大滝 緑 明治書院 2005
・『とれたて大百科』 JAグループホームページ https://life.ja-group.jp
・『七訂 食品成分表2016』 女子栄養大学出版部 2016

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みんなのコメント( 1

    • ID: 313
      2425日前

      クレソンといえばステーキの付け合わせでしたが、世界が広がりました!!!!

      拍手 0

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WRITER

「クレソン」の栄養素や歴史【管理栄養士監修】3月の旬の野菜の栄養学

小山 幸子

現在は病院、クリニックでの食事サポート、調理実習のほか、食コラムの執筆等。 『この食事が、人生で最後の食事かもしれない』を、モットーに業務に携わっている。 メカオンチのあがり症。 高校卒業後、会社員として8年間勤務後、26歳で栄養士養成校へ。 教員より年上の生徒だった経験を持つ異色の栄養士。 毎日書道会 会友 (雅号:小山 桃花)

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