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今回の旬の野菜は12月に旬の「ゆりね」です。
ゆりねは、ユリ科に属し、和名はユリ。英名はリリーです。
ゆりの球根(鱗茎)のことで、養分を貯め込む器官です。食用としては、苦みが少ないコオニユリが広く利用されています。その他にオニユリ、ヤマユリ、スカシユリなどがあります。

子孫繁栄のおめでたい野菜

鱗片が重なり合うことが和合につながることから、子孫繁栄のおめでたい野菜として知られています。
そして、重なり合って形成しているので、百合の名がついたと言われています。
野生のものを採取して古くから利用されていましたが、栽培は江戸時代の後期頃と言われています。栽培は通常、花を咲かせずに行われます。植え付けから収穫まで3年の手間がかかる野菜なのです。

シロユリは下痢を引き起こすことも…

ゆりの球根であれば何でも食用にできるのではなく、シロユリは下痢を引き起こすことがあり、花として鑑賞するユリにはアクや苦みが多く、食用に適していないものもあります。野山でユリを見つけて、その球根を持ち帰って食べるのは避けましょう。
ユリとは別属になりますが、北海道のアイヌの人々はオオウバユリの球根を焼いたり、茹でたり、さらに球根からとったでんぷんを、風通しのよい日陰で発酵、乾燥させて貯蔵食糧としていました。他のユリ科の植物でも可能かと思われますが実証はされていません。

食物繊維がとっても豊富

食物繊維が豊富で、総量はごぼうに近く、水溶性の食物繊維はごぼうよりも多く含まれています。加熱すると粘りが出るのはグルコマンナンという、こんにゃくと同じ水溶性の食物繊維です。水溶性の食物繊維は粘りが多いのが特徴です。
糖質も高く、さつま芋に近いエネルギーがあります。消化も良く、たんぱく質、カリウム、マンガンやビタミンB1、B2、葉酸、マグネシウム、リンなども豊富。カリウムはさつま芋の1.5倍。加熱によるビタミンCの損失も少ないのも魅力です。

選び方と保存方法のコツ

色が白くて光沢があり、鱗片が大きく、ハリがあって、パリッと乾燥してよくしまったものが良く、紫色がかかったものは苦みが強い傾向があります。また、根が長く伸びていないものを選びましょう。日光が当たると変色しやすく、水分がつくと腐りやすくなります。ただし乾き過ぎも禁物とされます。
傷付いたところが黒くなるのは、ポリフェノールが酸化して褐変するので、傷を付けないようにおがくずに包まれています。買った時に付てくるおがくずの中に入れて、そのまま野菜室で冷蔵しましょう。1-2か月は保存可能です。おがくずがない時は、新聞紙やラップに包んで野菜室で冷蔵しましょう。乾き過ぎも禁物です。おがくずに時々霧吹きをかけて湿気を補給するのも長持ちのコツです。

こんなにあるゆりねの調理法

姿のまま用いることもありますが、一般的には鱗片を1枚ずつはがして、かきユリにして用います。水でよく洗い、痛んだ部分は包丁で削り取ります。苦みをとりたい時は、食塩水で洗い、薄い酢水で下茹でしたり、ミョウバン水で茹でたりしてもいいでしょう。白さを活す時は、酢を加えて茹でましょう。
火通りが早く、加熱するとホクホクします。シャキシャキした食感をいかす場合は、かために茹でます。
白煮、卵とじ、茶碗蒸しや飛龍頭の具、梅肉和えなどが代表的な活用例です。ほかにもグラタン、かき揚げ、ホイル焼きや炒め物にもOKです。パスタのペペロンチーノにも使われたりします。炊き込みご飯やカレーに入れてもOKです。でんぷんが多いので、茹でてつぶせばきんとんや羊羹にも使えます。
ゆりねって奥が深いですよね。

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参考文献
・きたやさい ホクレン農業協同組合連合会ホームページ http://www.kitayasai.com/yasai/
・とれたて大百科 JAグループホームページ https://life.ja-group.jp
・『野菜の効用事典』山口米子 大滝 緑 明治書院 2005
・『新・野菜の便利帳 おいしい編』板木利隆 高橋書店 2016
・『旬の野菜の栄養事典』吉田企世子 エクスナレッジ 2016
・『簡明食辞林 第2版』樹村房
・『野菜の仕入れ事典』瀬戸達和 旭屋出版 2008
・『地域食材大百科』農山漁村文化協会 2010
・『七訂 食品成分表2016』女子栄養大学出版部 2016

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みんなのコメント( 1

    • ID: 313
      2311日前

      子孫繁栄のお野菜だったんですね

      拍手 0

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WRITER

「ゆりね」の栄養素や歴史【管理栄養士監修】12月の旬の野菜の栄養学

小山 幸子

現在は病院、クリニックでの食事サポート、調理実習のほか、食コラムの執筆等。 『この食事が、人生で最後の食事かもしれない』を、モットーに業務に携わっている。 メカオンチのあがり症。 高校卒業後、会社員として8年間勤務後、26歳で栄養士養成校へ。 教員より年上の生徒だった経験を持つ異色の栄養士。 毎日書道会 会友 (雅号:小山 桃花)

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